ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

異人種間の愛 その1

2017-11-08 | 国際恋愛・結婚

https://gallery.yopriceville.com

 

Source: Associated Press 

Mildred and Richard Loving 夫妻

恋愛に国籍や人種は関係ない、という意見は至極自然で、真実であるが、それがそうではなく、合衆国には反異人種間混交法(anti-miscegenation laws)が植民地時代から2000年まで存続していた、など信じがたい事実がある。奴隷との結婚は一度も合法にはならなかったのは、言うまでもない。これを廃止に向けていったのは、共和党政府で、民主党政府になると、再導入された。(近年共和党は、裕福な人々の味方、民主党は貧しいそして有色人種の味方、とステレオタイプ化されているが、こうした事実があるのを何故か都合よく見過ごしているのが、現代ミディアである。)

上記写真のLovingラヴィング夫妻は、異人種間結婚のために、1958年自宅で就寝中警官に急襲され、逮捕されている。夫妻は正式にワシントンD.C.で結婚し、結婚証明書を見せたが、二人は重罪となる判断をされ、反異人種間混交法に反する、と、ヴァージニア州から追放されたのだ。夫妻は一緒に旅行することや、ヴァージニア州のそれぞれの家族を一緒に訪ねることも、できなかった。1964年、夫人は当時の合衆国司法長官のロバート・F・ケネディに直訴し、彼からアメリカ自由人権協会(ACLU)を紹介され、そこから自由を勝ち取る旅が始まったのだった。

1967年6月12日、ラヴィング夫妻の異人種間結婚に対しての有罪判決を、合衆国最高裁は、全員一致で、覆した。最高裁はさらに、ヴァージニア州の主張が合衆国憲法修正第14条に違反しているとした。この後も異人種間結婚は、最高裁決定にも関わらず、いくつかの州法の一部であったが、カリフォルニア州でもアリゾナ州でも同様の法があったのである。結局その州法を(さすがに)施行はしていなくとも、保存し続けていたアラバマ州は、とうとう2000年に最高裁判決に沿うよう、住民投票で州憲法から反異人種混交の文言を取り除くことを決めた。

ラヴィング夫妻の勝利判決があったことから、後年6月12日はラヴィング・デイとして、非公式ではあるが、毎年異人種間結婚を祝う日となった。2000年まで少なくとも州法の一部に理不尽な法の文言を含めていた州があったのは、本当に驚きだが、この違法はほとんどが白人と黒人間が対象であったので、白人ではない人種、たとえばアジア人、ユダヤ人、中南米人には当てはまらなかったようである。

 https://en.wikipedia.org/wiki/Loving_v._Virginia#/media/File:US_miscegenation.svg

 
アメリカ合衆国諸州において反異人種間結婚法が廃止された年   

灰色:法律なし   緑:1780年から1887年   黄:1948年から1967年   赤:1967年以降

 

数年前にアメリカの有名なシリアルのひとつ、cheerioのコマーシャルで、とても微笑ましい家族ものがあった。私は好きだったが、なんとこのコマーシャルが物議を醸しだしたのだ。何故なら、これに出てくる家族は父親が黒人、母親が白人、そして娘がその混血だったからである。2013年の作品だから、反異人種間結婚法廃止から46年は経っていたのに、黒人と白人(特に白人女性と黒人男性)の結婚をいまだに嫌う者が少なくない、という冷たい現実を見せつけられた思いだった。(このコマーシャル動画はここ) Jim Crow Laws (ジム・クロウ法)と呼ばれる人種差別的内容を含む南部諸州の州法が、1964年の大統領命で撤廃されたはずなのに、いまだに息づいているとは、震撼させられる。


明日に続く。


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