ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ハリケーンアーマ

2017-09-10 | 家族

フロリダ州知事が、ハリケーンアーマ(Irma)は、家でゆったりイスに座ってやり過ごせるものではない、非常に強い勢力があり、命取りになるものだ、と警告を出していたので、心配が増した。三男一家が住むのはマイアミである。夫が火曜日に携帯電話に連絡してもつながらず、心配していたら、水曜日に、息子から電話があった。

一家は、ノースキャロライナ州ラレイに居て、木曜日にはワシントンD.C.に着くと言う。ああ、なるほど、それが息子達の避難の仕方なのね。夫婦で、来月二歳になる息子と生後一ヶ月ちょっとの娘を連れ、どうせなら、ワシントンD.C.見物をする、ということである。

たくさんワシントンD.C.の名所を訪ねている写真をテキストしてきた。ああよかった、無事にハリケーン域を抜け出せて、と安堵したが、アーマが気変わりして、ふいに右側、つまり東側に進行しなければいいのだが。月曜日の朝早くには、北フロリダを通るらしいが、サウスキャロライナ西部にまでおそらく暴風域に入るなら、帰宅の運転は、大変そうである。それでも幼子二人を抱える夫婦が、なんとか避難できてよかった。

大学からは今週一杯そして場合によっては来週半ばまで休校、と連絡が火曜の朝早くにきたそうだ。まだガソリンのあるうちに息子一家は無事東へ非難しているが、フロリダには知人がマイアミ近辺に住んでいて、彼とその家族の安全を心配している。そしてアーマが天気図のように進行していくと、やがて、ケンタッキー・ルイヴィルに住む義姉一家が直撃される。

先のハリケーンハービーで大災害地となったテキサスとルイジアナにも知人がいる。多発する山火事に家を焼かれるかもしれない家族や友人がカリフォルニア、オレゴン、ワシントンにもいる。ある友人は、ロサンジェルス郊外の山の上に家があり、もう一人はヨセミテ国立公園へ行く途中の山に家がある。二軒とも延焼を逃れますように。

毎年合衆国の西側は山火事が起きる。でも今年は多発しているし、その規模も大きく、朝新聞を取りに表へ出ると、煙たい空気が澱んでいる。ひどい時には、煤まで舞っている。それでなくとも盆地は大気が汚れているのに、火事の煙や煤で、ますます誰の健康にも悪い。加えてヒートウェーブの高温ゆえ、喘息や気管支の弱い人を含め、皆なるべく屋内で過ごすようにと、警告も出されている。小、中、高の学校での屋外ゲーム(フットボールやサッカーなど)や遊び時間まで、制限されている。

ワシントンモニュメントで避難している息子夫婦。

私のできることは何だろう、と考えて、まずある団体を通じて小額ながら、献金した。夫は常時しているが、献血もした。避難先の必要な家族、知人、友人には、いつでも我家でよければ、お泊めできることを伝えた。そして自宅と車中に置いている非常袋や、非常時用食糧と水その他の貯蔵を点検した。そして上記の災害地域に住む方々の安全と無事を心より祈り、願っている。

 孫息子の名前はこの銅像の方にちなんでつけられた。その銅像の足元で避難している息子親子。

 


メディカルな系図 その2

2017-09-09 | 系図のこと

孫#4



前回2)に記したように、家族親戚をインタビューする時に、次の六項目の質問事項が役立つかもしれない。

  1. 家族・親戚の誰が、命に関わる病気と診断されたのか。
  2. その診断を受けた時の歳は?
  3. 家族・親戚の誰が、糖尿病と診断されたか。
  4. 家族・親戚のうち、心臓病の歴史があるか。
  5. 家族・親戚のうちで、精神、心に関する病気の診断を受けた者がいるか。
  6. 家族・親戚のうちで、喘息、高血圧、アルコール中毒、あるいはその他の薬物乱用の問題があるか。


これらは、あくまでも欧米を対象にしているものであり、日本ではあまりスムーズに5と6の質問に答えてもらえるかは不明であるが、以上が基本的質問である。


民族的な要因で起こる病気もある。Ashkenazi-Jews(アシュケナジユダヤ人=ドイツ・ポーランド・ロシアのユダヤ人)には、高い確率である種の染色体異常から発生する病気がある。Gaucher's disease(ゴーシェ病)、Bloom syndrome(ブルーム症候群, Canavan disease,(キャナバン病)、それに Tay-Sachs disease (テイーサックス病)などがある。少ない人口中で、起こる近親結婚が原因である。


地中海沿岸出身者を先祖に持つ子孫には、Thalassemia (サラセミア=地中海性貧血)があるが、実姉の夫は、フランス人の先祖があり、彼の一族には昔からこの病については語られてきていた。彼の兄弟姉妹で罹患した例はなかった。東南アジアやアフリカ系アメリカ人にも違う型だが、この病気は起こる。中央ヨーロッパ出身の先祖を持つ子孫は、Cystic Fibrosis(嚢胞性線維症)が起こりやすい。


アフリカ系アメリカ人の間に高い確率で起こるSickle Cell Anemia(鎌状赤血球貧血)があるが、両親双方が、その病を持つと、その子供達全員、それを受け継ぐ。片方の親だけ病を持ち、もう片方の親は持っていない場合は、子供達は全員その病のキャリアーになる。キャリアー自身は罹患しない。キャリアーはその子孫にその遺伝子を伝えていく。


 この他, 劣性遺伝子や、罹患確立予想などの域は、遺伝カウンセラーが詳細に説明できるので、もしそうした家族の医学歴史がある場合、即断・独断で誤った結論は出さないで、専門家に相談することである。例えば、家族に乳癌を患った女性がいても、彼女が父親側の家族ならば、医師はそれが貴女の癌を罹患するリスクを上げはしないと言う。素人判断で決断するよりも、必ず専門家に相談すべきである。


遺伝子によって生じる病気は、遺伝子学がさらに進んでいることによって、治癒も可能なことも多い。そのためには、医学的な家族の歴史を作っていくことが大きな助けになるかもしれない。医学は毎日発達し続けているのである。 


孫#1


メディカルな系図

2017-09-08 | 系図のこと

 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/pmh/PMH_Authoring/media/Images/medium_thumbs/NHGRI-85164.jpg

家族のメディカルな系図とは、そのものずばり、家族や先祖や親戚の重要な医学的な疾病記録である。貴方の息子が、赤毛であれば、それは貴方の祖母からのDNAが伝わっている、と言うように、子孫に受け継がれるのは、それだけではなく、疾病原因となる遺伝子もある。多くの遺伝する医学的症状は、アルツハイマー症、アルコール中毒症、糖尿病、前立腺癌、乳癌、心臓疾患など、その他多数ある。


歴史の重要な効用は、過去の間違いを避け、将来をある程度予測できることだが、医学的見地に立った家系図や、家族の疾病記録は、もう少し具体的に、いつか子孫の命をも救う手立てになるかもしれない。遺伝や先天的な原因がなくても、家族や親戚に、ある種の病気の疾病者が多いとすれば、子孫は、後天的な原因;環境、食事、生活習慣などに目を向け、将来の健康改善を図れる。


ある科学調査によると、人口の40%に、癌、糖尿病、心臓病などを疾病する遺伝子学的なリスクの増加があるという。(参照:ここ)そうなるとますます家族の疾病歴史を調べることは大切になる。予防医学の範疇である。ただし、私は、ここで夫婦のライフスタイルにとって不都合な胎児を堕胎するという極端な遺伝子検査利用等を述べているのではない。


その医学的家系図を作成するには、まず、合衆国などの欧米を対象にすると;1)死亡証明書を集める。ただし最近発行された死亡証明書のうち、ニュージャージー州発行のものは、死亡要因の欄は黒く塗られている。年数が経ったものは、死因がわかる。2)差し支えのない程度に、遺族をインタヴューして、死因となった病気がはっきりしていなくても、ひどい頭痛に悩まされていたとか、胃痛がしょっちゅうあったなどの症状は知っているかもしれない。3) 新聞の訃報欄を読む。少し前までは、訃報欄で死因を記したものだが、最近は、書かないことが多い。しかし訃報の最後のほうで、香典のかわりに病中お世話になった場所、癌研究所センターや、心臓病協会へ寄付を、ということも書かれているので、そこから察することも出来る。4)死亡時にはまだ判明していなかった病気は、没後明らかになることもある。リンカーン大統領には、存命時にはわからなかったMarfan Syndrome(マルファン症候群)と言う遺伝病があったらしい、という仮説は、没後百余年以上経って、暗殺時に大統領の衣服に付着した彼の血痕からのDNA検査で結論が出されるはずだ。


さて情報を収集したら、次のステップは何だろう。単純にある病気になる素因があるとわかれば、多くは、警戒の域に留まるだろうが、過激なケースもある。それは、非常な頻度で母親や女性家族・親戚に起こる乳がんや卵巣癌があれば、疾病する前に、まだ健康そのものであるうちに、乳房切除や子宮摘出手術をすることである。


これは、実際に私の知人のケースである。この若い女性は、祖母と母親を卵巣癌で失った。まだ19歳で、結婚したが、産婦人科医から30歳までに子供を生み終わり、卵巣除去や子宮全摘出を勧められている。今年の初めに第一子を無事出産したが、これで終了ではないから、毎日本当に体の状態に気をつけている。


こうした遺伝病に関しての勝算は、実は遺伝カウンセラーに相談することで、かなりはっきりとした正確な予想が立てられる。日本における遺伝子医療は、2005年認定遺伝カウンセラー制度が正式にスタートしている。詳細は、日本遺伝カウンセリング学会へどうぞ。


続きは又明日。

健康で意義のある長い人生を歩んでほしい。


試練と希望

2017-09-07 | アメリカ事情



今朝、エンジニアリングのW教授の娘さんが亡くなってお葬式が今週あるというメイルを受け取った。せんだって教授はいつものように書類を私のオフィスへ持ってきてくれて、世間話を交わしたばかり。W教授は、エンジニアリングの硬いイメージがなく、いつでも楽しく思いやりにあふれた教育者である。先週突然に降りかかってきた災難。まだ若い息子さんがふたりいるが、美しい娘さんはただひとりだった。


W教授は学生を熱心に指導し、勉学に苦労している学生を特に注意深く見守り、助けてきた。私の好きな尊敬する教授のひとりである。娘さんはシニアで今学期卒業する予定だった。遺影を見ると、本当にフェアリーのような可憐さと儚さに見えるが、実はたいへんに芯の強いお嬢さんだったらしい。卒業を待って結婚するはずだった彼女を失ったご両親の、ご家族の、そして婚約者の悲しみはメイルを読む私にも伝わるほど深く重い。この世が試験の場であることを思い起こさせる。


そんな今朝、就業前の短い間、思わず聞いたのは、Janice Kapp Perryの歌、The Testである。この歌はYou Tubeでお聞きいただける。ここを右クリックで別タブページへ。


Tell me friend, why are you blind?
Why doesn't he who worked the miracles 
send light into your eyes
Tell me friend if you understand.
Why doesn't he with power to raise the dead just make 
you whole again?
It would be so easy for him.
I watch you and in sorrow question why.
Then you my friend in perfect faith reply.

Didn't he say he sent us to be tested?
Didn't he say the way would not be sure?
But didn't he say that we could live with him
Forever more, well and whole,
If we but patiently endure?
After the trial we would be blessed
But this life is the test.

Tell me friend, I see your pain.
Why when you pray in faith for healing does the 
crippling thorn remain?
Help me see if you understand.
Why doesn't he who healed the lame man 
come with healing in his wings?
It would be so easy for him. 
I watch you and in sorrow question why
Then you my friend in perfect faith reply

Didn't he say he sent us to be tested?
Didn't he say the way would not be sure?
But didn't he say that we could live with him 
Forever more, well and whole,
If we but patiently endure?
After the trial
We would be blessed.
But this life is the test.

Tell me love why must you die?
Why must your loved ones stand with empty arms and ask 
the question why?
Help me know so I can go on.
How when your love in faith sustained me,
Can the precious gift be gone?
From the depths of sorrow I cry.
Though pangs of grief within my soul arise,
The whisperings of the spirit still my cries.

Didn't he say he sent us to be tested?
Didn't he say the way would not be sure?
But didn't he say we could live with him 
Forever more, well and whole,
If we but patiently endure?
After the trial we would be blessed.
But this life is the test.

 

双子のように育って仲のよかった弟を急なガンで亡くした時、この歌を、詞をどれだけ繰り返聞き、読んだことだろうか。キリスト教徒として、福音も教義も私は知っている。それでも人生はカーブボールをよこし、こんなはずじゃなかったのに、というこころの呟きを、弱音を、吐きたくなる時がある。そんな時、The Testは私をレールの上に戻してくれる。


天父も、キリストも、誰も、この世がたやすいものである、とはおっしゃらなかった。試しの世であるとおっしゃったのを都合よく忘れている時、この歌は優しく思い出させてくれる。ナルニア物語の著者C. S. Lewisは、言った。「試練というものは、神が私たちを見捨てられたことではない。そういうことでは決してない。それは私たちを引き戻される神の愛である。」


今病のうちにある方々の心の平安が常にあるように、そして旅立ったお嬢さんを悲しむW教授の御家族に平安がありますように。




レイバーデイに思うこと

2017-09-06 | アメリカ事情

9月4日は、日本語でいえば、合衆国の勤労感謝の日で祝日。南北戦争後の産業拡張期を機会に幾つかの血なまぐさい労働問題、紛争を経て20世紀には、ほとんどの州が労働(に感謝するため)の祝日として受け入れた。昔は9月の最初の日曜日ということもあったそうだが、今は最初の月曜日で、ありがたい。この日はまさに勤労を休み、のんびりする日である。

1966年から45年間レイバーデイの恒例だった筋ジストロフィー協会への寄付金を募るテレソンは、主演のJerry Lewisが2011年に退き、結局2014年には放送も取りやめになった。今年そのThe Jerry Lewis MDA* Labor Day Telethonを長年勤めたJerry Lewisも先月8月20日齢91歳で心臓関係の病で亡くなった。

*MDA=Muscular Dystrophy Association=筋ジストロフイー協会

つい最近、と言っても、1980年の初期頃までは、小、中、高の学校は、このレイバーデイの次の日から新学年・新学期が始まったものだが、昨今は二週間は早くなっている。夏休み自体、5月の真ん中あたりからだったのが、今は6月に入ってから、というのが多い。

州にもよるが、30年前、40年前に比べて、今のアメリカの夏休みは大分短い。国際学力統計からして合衆国はかなり低い位置を占めているので、日本やその他の教育先進国並にせめて学校出席日数を多くすればいい、という考えがある。そして両親共働き、というのも原因の一つだろう。学校には保育施設を備えている所も多いし、学校があれば、そこも開所している。

レイバーデイは夏の最後のピクニックやBBQや湖川や海でのチュービング、水泳などの水遊びを楽しむ家族も多い。私も、学生の頃お世話になった家族(この家族)と共にReservoir(貯水池)へピクニックへ行った思い出がある。

これで夏は終わり、明日の新学期初日に備えて気持ちを新たにして、頑張ろうと殊勝なことを思ったものである。その日までには、新学期に着ようと作った服も仕上がり(自分で縫った。その時代1970年代後半でも服くらいは自分で縫える女子学生は多かった。)、文具品も揃え、教科書の幾つかも用意してあった。今は昔の話。

この日は旗日なので、ボーイスカウトが前庭先に星条旗を朝早く立てておいてくれる。日没前には引き抜きに来る。これはスカウトのファンドレイザーで、1年間こうして旗日には旗を立ててくれるのである。今は旗を掲揚しないうちが多いが、なんだか、寂しいことだ。市民権を取得した近所の元移民家族はいつも誇らしげに出している。


 

ご近所のこのお宅の庭にもボーイスカウトによる星条旗が。 

ちなみに国旗(Flag Code)には決まりがある。スカウト活動を長年してきたので、端がちりぢりになり、色も褪せた国旗が掲揚してあるのを目にすると、余計なお世話ではなく、本当に悲しくなる。国旗には尊敬の念を持たなければならない。次のはその国旗に関する決まりの幾つかである。

1)国旗は掲揚時に旗が地面や水や床は勿論、商品などに触れてはいけない。2)星条旗はフラットに掲揚する場合、ユニオン(紺地に星のある部分)は見る側の左になるようにする。3)国旗掲揚時間は国際的習慣では、日の出から日没までの掲揚であるが、愛国精神を表すイベントの場合、夜の帳にはきちんと旗を照らし出す照明をつければ24時間掲揚できる。 4)スポーツ大会やその他のイベントで国旗掲揚儀式を設ける場合、厳粛な気持ちできちんと行わなければならない。夫と私の行った大学では、確か朝7時と夕方5時に国歌が流れ、その間右手を左胸に置き、歩いていれば立ち止まり、座っていれば立ち上がって厳かに敬意を払った。この二つの時間は大学での国歌演奏と国旗掲揚の始まりと終わりである。5)国旗は一切飾りで周りを囲わない。軍とボーイスカウトのインシグニアは除く。つまりLeave It Beである。6)国旗は決して着るものではない。着てはならない。7)国旗を降ろす際、たたみ方があり、それを守る。8)破れたり、色褪せしたりした国旗はきちんと厳粛にリタイアさせる。普通はボーイスカウトが、引退セレモニーを執り行ない、焼却する。などなどコードはあるのである。

日本の国旗にもこうした決まりは通ずることと思う。日の丸は美しい。この日の丸を掲揚するのに、国粋主義だ、先の戦争では、と異議を唱えるのは、なんだかとても悲しい。日本での国旗掲揚時に右手を左胸に当てるのも実はおかしく思える。合衆国では、合衆国への忠誠の誓いが基にあり、1942年フランクリン・ルーズベルト大統領が制定したことだ。日本人は直立不動で国旗掲揚時に国歌を斉唱すればいいのである。

そんな難しいことを考えながら過ごした休日ではなく、この日はゆっくりのんびり過ごした。翌日からまた新しい一週間の始まり。今週は四日のみ。喜ばしいことである。  

 我が家の前庭先にも。