ヨシムラ・サイエンス・ラボ

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ワインと金属(最終回)

2012年10月19日 | 漆塗り
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

ボジョレーヌーボの解禁である来月の第三木曜日(11月15日)も間近ですので、伝統工芸からちょっと離れて、ワインと金属について全3回でご紹介しています。

今日は、その最終回。
ワインと鉛についてのお話をしたいと思います(参考文献 「毒性元素 謎の死を追う」丸善㈱)。

人体に対する鉛の有害性についてはご存知の方も多いかもしれません。
電子機器の内部回路に使われるハンダと呼ばれる、金属同士をくっつける接着剤には鉛が含まれていました。
そのハンダに鉛が含まれる理由は、溶ける温度を下げる作用があるためです。
蛇口などの水道金具にも鉛が含まれていました。これは、溶かしてかためた後にスイスイと削りやすくするために鉛が含まれていました。
最近になり、鉛の人体に対する有害性が問題となり、前者も後者も鉛を含まない金属への代替が進んでいます。

この様な有害な鉛。
実は、古代ローマで甘味料として使用されていたようです。
当時のローマでは鉛の怖さを知らなかったんでしょうね。

酸化してしまったワインを鉛製のお鍋で煮詰めると、お砂糖に似た白い物質が出来上がるそうです。
この白い物質はは酢酸鉛というもので、はちみつと並ぶ当時のデザート用甘味料だったそうです。
諸説いろいろありますが、鉛中毒がローマ帝国滅亡の原因の一つだったとか。。。


さて、全三回でワインと金属についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
今後も季節と関連させた身近な金属ネタをご紹介していきます。
お楽しみに!

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