大麻を合法化する国が出てきているが課題も多い=ロイター
【フランクフルト=林英樹】ドイツ政府は16日、個人が大麻を嗜好品として所持、栽培するのを合法化する法案を閣議決定した。大麻の流通を管理下に置くことで、数十億ドル規模とされる「闇市場」を壊滅させるのが狙いだ。粗悪品による健康被害や犯罪の若年齢化を抑止できるとするが、合法化はかえって大麻の普及を助長するとの反発もある。
法案によると、18歳以上の成人は嗜好目的で25グラムまでの大麻所持と3株までの栽培が可能になる。学校やデイケアセンター、スポーツ施設など一部の公共の場を除き、使用できるようになる。法案は2023年末までに成立し、24年初めに施行される見通しだ。
大麻を入手するには、独政府が認可した非営利団体に加入する必要がある。各団体には最大500人まで登録でき、未成年の保護や依存症の対応にあたる担当者の設置など運営には規則が課されることになる。一部地域では大麻専門店での販売も可能になる。
ドイツのラウターバッハ保健相(9日、ベルリン)=ロイター
ラウターバッハ保健相は同日の記者会見で、これまでの違法薬物対策が未成年保護の観点から失敗だったと指摘したうえで「大麻の使用は合法化されるが、危険であることに変わりはない」と強調した。
合法化に踏み切った理由のひとつが、大麻取引をめぐる闇市場の拡大だ。ドイツ国内では1グラムあたり5〜8ユーロ(約800〜1300円)の安値で取引され、未成年でも街中で簡単に手に入れられる。数十億ドル規模の資金がマフィアなど反社会的組織に流れているとされる。
独政府の調査によると、約450万人の成人のうち11%の男性、7%の女性が過去に大麻を使用したことがあると回答した。薬物犯罪の増加に加え、不純物や人工化合物が混じった粗悪品も多く、健康被害の危険性が指摘されている。
独政府は合法化で「健康保護の改善、教育と予防の徹底、組織的な薬物犯罪の抑制、未成年の保護強化につながる」としているが、実効に疑問の声が上がる。
認可を受けた非営利団体が販売する大麻には税金が課され、価格が2倍前後に上昇するため、お金のない若者は非正規品の購入を続ける可能性がある。法律で使用が認められれば、大麻に手を出す絶対数は増えることになる。
野党のキリスト教民主同盟(CDU)のリンネマン副党首は独DPA通信の取材で「法案は重大な間違い。合法化で逆に犯罪が増え、闇市場は一掃できない」と反発する。
実際、先行して合法化にかじを切った国の一部では問題が生じている。タイは22年6月、医療目的での使用と家庭栽培に限定して大麻を解禁した。嗜好目的での使用を禁じているものの、取り締まりが追いつかず、中毒者は増加傾向にある。
国連の国際麻薬統制委員会によると、18年に合法化したカナダでは使用される大麻全体の40%が違法な流通品だった。17年から自国民に限り大麻の栽培・売買・使用を認めているウルグアイでは、外国人や未成年向けの非正規品が横行。違法な流通品が全体の50%弱を占めている。
1976年にいち早く「コーヒーショップ」と呼ばれる専門店での大麻使用を解禁したオランダ。犯罪の増加から一部の都市で外国人の使用を禁じたり、違法業者からの仕入れを規制するなど、揺り戻しが起きている。
日経記事 2023.08.17より引用
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アカンやろ。
『何事も失敗の原因の本質は、根拠なき楽観!』