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兵庫・名古屋…令和のSNS選挙に求められる「健全な懐疑」

2024-11-25 12:57:35 | 日本政治・外交


名古屋市長選の街頭演説に立つ(左端から)藤川氏、河村前市長、広沢候補(22日、名古屋・栄)

 

東京都知事選、兵庫県知事選に続き名古屋市長選でもネット情報が結果に影響したという。

鎧兜(よろいかぶと)の騎馬軍団が足軽の鉄砲隊にやられるイメージが浮かぶが、ことの本質はもっと深いところにあるようにみえる。

 


名古屋市長選の広沢候補は電飾の自転車を使った遊説を展開。動画はSNSにも投稿された(22日、名古屋・栄)

 


名古屋市長選で街頭演説する大塚候補。衆院選で躍進した国民民主党の玉木代表(左から3人目)、
榛葉幹事長(右端)も応援に入った(22日、名古屋・栄)

 

人は見たいものを見て、聞きたいことを聞くと、よく言われる。SNSでは受信者の嗜好にあわせた情報が、根拠不明のものを含め次から次へ届く。

注意すべきは、情報には伝える者の意図、目的があることだ。スマホ画面の向こう側には人間がいる。

 

サイト閲覧や動画再生の回数がマネーになる時代である。それぞれの選挙中、SNSのフォロワー急増を喜ぶ書き込みをよくみかけた。

耳目をひく対決のドラマさえ用意できれば、有権者すべてが利害関係者と言える選挙は、一気に数字をかせぐ好機になる。実利を得るのは候補者とは限らない。ひとりではなく、グループかもしれない。

 

批評家の小林秀雄が残した「中庸」と題する短い随筆がある。古代中国の「政治的に紛乱した恐るべき時代」を生きた孔子は「行動を挑発し易いあらゆる極端な考え方の横行するのを見たであろう」と思いをはせ「彼の智慧(ちえ)には常に健全な懐疑の裏打ちがあったように思われる」と書いた。

極端なネット情報が行動を挑発する様は、いまや世界中でみられる。日本の地方選挙も例外ではないということだろう。「健全な懐疑」の5文字が重みを増している。

(地方部長 天野豊文)

 

 

 
 
 
 
 
 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

 

遠藤直紀のアバター
遠藤直紀ビービット 代表取締役
 
ひとこと解説

SNSはテレビや新聞を見なくなった若年層など、有権者の幅を広げる可能性を秘めています。一方でSNSのアルゴリズムは収益性を重視しているため、利用者の興味に偏った情報が表示されやすく、分断を強化する構造を持っています。

また、過激な内容は興味を引きやすいので、センセーショナルな情報が拡散される傾向にあります。閲覧している情報が常に100%正しいわけではないこと、また偏った情報しか目に入っていないことなど有権者のメディアリテラシーを高める仕組みと共に、SNS運営者は公共の利益を考慮したアルゴリズムやモニタリングを実施するといった規制がより一層必要になってきていると感じています。

 (更新)
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村上芽
日本総合研究所創発戦略センター チーフスペシャリスト
 
別の視点

投票率をみると、兵庫県知事選挙で約56%、名古屋市長選挙では約40%でした。

兵庫県の場合、前回比+約15%と投票率は大きく伸びたわけですが、それでも、兵庫で4割以上の有権者が投票にいかなかったわけです。

今年の世界の注目選挙では、フランス下院選で約67%、欧州議会選で約51%、米国大統領選は約65%でした。

民主主義の国でも選挙に行かなかった人が実はけっこういる、それがどう変わっていくのか、にも注目したいです。

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日経記事2024.11.25より引用
 
 
 

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