英BAEが展示した次期戦闘機の模型(10月、東京都江東区)
日本と英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に関し、機体の製造などを担う共同企業体(JV)への出資比率が、3カ国で均等となることが12日わかった。
日本は英伊と等分に出資し、生産や設計にも同等の影響力をもつことができる。3カ国は近くJVの設立で合意する見込みだ。
次期戦闘機の開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」は2022年12月に発足した。米国のF35など最新鋭の戦闘機を上回る能力をもつ第6世代機として35年までの配備をめざしている。
3カ国はプログラムを管理する国際機関「GIGO(ジャイゴ)」と民間で構成するJVを立ち上げる方針を示してきた。23年末に締結した条約に基づき、10日にGIGOを英国に設置した。JVの枠組みについても正式合意する見通し。
JVは3カ国の企業がおよそ33%ずつ出資する。英国は防衛企業の国内最大手BAEシステムズ、イタリアも最大手レオナルドが出資元となる。
日本は三菱重工業が日本航空宇宙工業会(SJAC、東京・港)と共同で設立した日本航空機産業振興(JAIEC、東京・新宿)が出資する。
JVのトップにはレオナルドの幹部が就く見込みだ。本部を英ロンドン郊外のレディングに置く。GIGOのトップは岡真臣元防衛審議官を充てた。
英伊が現在運用する主力機「ユーロファイター・タイフーン」は英伊とドイツ、スペインが共同開発した。JVへの出資比率は英独が各33%、イタリア21%、スペイン13%で、開発・製造への影響力や作業分担もこれに近い割合になった。
日英伊は企業体の資本関係においても3カ国の立場が対等となる。
プログラムへの参画を調整しているサウジアラビアはJVには出資せず、「パートナー」の立場で機材の購入や開発資金の拠出を検討する。
GIGOとJVの枠組みが固まり、来年から開発計画が本格的に動き出す。
(ロンドン=湯前宗太郎、江渕智弘、永富新之丞)
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日経記事2024.12.12より引用