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丸紅、時価総額10兆円の本気度 脱「面白くない会社」  吉田啓悟(日経記事2025.2.27)

2025-02-27 18:05:13 | 商社・小売り・スーパー、食料・飲料全般、ビジネス・水・酒・穀物メジャー



丸紅が2031年3月期をメドに時価総額10兆円を目指す方針を打ち出した。

現状は約3兆9800億円と大手商社5社の最下位。ここから2.5倍強に引き上げる計算で、決して簡単な目標ではない。成長領域への積極投資によって「面白くない会社」(柿木真澄社長)を脱し、持続的にマネーを呼び込めるかが焦点になる。

 

「最も成長していく企業でありたい」。丸紅が2月上旬に開いた決算会見で、4月に社長に就く予定の大本晶之常務執行役員は力を込めた。

コンサルティング会社に一度転職した異色の経歴を持つ新社長が重視する指標の一つが時価総額だ。

 

株価と発行済み株式数の積である時価総額は企業の価値そのもの。純利益とPER(株価収益率)を掛け合わせても算出できるが、この2つの31年3月期の見通しについて丸紅は開示していない。

ヒントになるのが28年3月期まで3年間の新中期経営計画だ。年平均10%の純利益成長を掲げ、純利益6200億円(25年3月期見通し比24%増)を目標に設定した。このペースが続くと仮定した場合、31年3月期の純利益は8250億円程度。となればPERは12倍強が10兆円の条件になる。

 

 

 

純利益8250億円の前提となる10%成長の難易度は高い。

一過性の利益を除いたベースで純利益をみると、25年3月期まで3年間の現行中計期間は平均マイナス2%とむしろ減少を見込む。中国景気の減速などを背景に「資源バブル」が一服し、非資源分野の成長で補えていない構図が浮かぶ。

 

そこで新中計期間は非資源分野への投資ピッチを上げる。収益性と成長性の両方を見込める案件に計1兆2000億円を投じる。

現行中計期間に比べ1.5倍の大きさで、航空機関連、モビリティー、農業資材販売などが対象になる見込みだ。

 

同時に低採算事業は整理する。

新中計期間は資産売却で6000億円のキャッシュを回収し、「選択と集中」で成長領域に振り向ける。非資源分野の投下資本利益率(ROIC)は28年3月期に10%(直近で実績を開示している23年3月期は9%)を目指す。

 

もう一つの難題であるPER12倍。大手5社でトップの三菱商事(10.5倍)や2位の伊藤忠商事(10.4倍)でも12倍に届かない。丸紅はさらに低い7.9倍にとどまる。

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背景には非資源分野の苦い投資経験がある。

丸紅は米穀物集荷・販売大手ガビロンで計約1200億円の巨額損失を計上した。この失敗を教訓に近年は手堅い投資が目立ち、「見ていて面白くない会社になりつつある」(柿木氏)。

 

カギは積極投資と投資規律の両立だ。現状の16事業部を4月に10事業部に再編し、うち9事業部で投資専門チームを新設する。

各部署に偏在してきた投資の知見を集約して全社で共有する。古谷孝之最高財務責任者(CFO)は「投資の確からしさを証明すれば、PERは12倍以上に上がっていくだろう」と予測する。

 

株式市場には情報開示の充実を求める声もある。事業ごとのROICの目標値を公表する一方で、過去の実績は開示しておらず、変化の度合いを確認できないためだ。

SMBC日興証券の森本晃シニアアナリストは「ROICの目標値に沿った利益成長となるか、進捗の説明を求めていきたい」と語る。

 

商社株は長く割安株の代表格だったが、最近は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による投資で注目を集めている。

これに好業績に伴う手厚い株主還元が加わり、とくに24年上半期は株価上昇が目立った。2月25日にもバフェット氏が買い増しを示唆したと伝わり、急騰する場面があった。

 

「バフェット効果」をにらみつつ、6年間をかけて時価総額を10兆円に増やすという意欲的な目標を打ち出したインパクトは小さくない。丸紅の本気度は商社株をうらなう試金石になり、業界の勢力図を塗り替える可能性も秘める。

 

 

 

 

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日経記事2025.2.27より引用

 



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