JDIのキャロンCEO(中央右)とイノラックスの洪進揚会長が都内で記者会見した
(3日、東京都港区)
ジャパンディスプレイ(JDI)は3日、台湾の群創光電(イノラックス)と有機EL技術で戦略提携を結んだと発表した。
イノラックス子会社の車載パネル会社と組み、独自の有機EL技術をつかったパネルを車載向けに販売する。2027年に32型の車載用パネルをJDIの茂原工場(千葉県茂原市)で量産する計画だ。
JDIの有機EL技術「eLEAP(イーリープ)」を車載向けに適用し、速度表示やカーナビ画面などを統合した大型の車載パネルとして提供する。
同じ大きさの液晶パネルと比べて15%明るく、消費電力を 76%抑えられるという。内装デザインに合わせて画面を自由にレイアウトできる特長もある。
今回の提携では、JDIが車載向けパネルを量産してイノラックス子会社が完成車メーカーに売り込む。スコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)は3日に都内で開いた記者会見で「イーリープを世界に展開する上でイノラックスとの提携が最適だ」と語った。
有機ELパネル以外での協業についても検討するという。
パネル産業では中国企業の増産によって供給過多の状況が続く。イノラックスの洪進揚会長は「供給過剰の中でも、どのような価値を顧客に提供できるかが重要。自動車の未来を考えて革命的な技術や材料に投資することが求められる」と話した。
経営再建中のJDIは有機ELの量産のために外部連携を模索してきた。23年から中国の安徽省蕪湖市と交渉をしていたが、10月下旬に白紙撤回した。11年連続の最終赤字を見込む中、有機EL技術を車載にも広げて工場稼働率を高める狙いがある。
イノラックスはテレビ用液晶パネルで世界大手。23年12月期の売上高は2117億台湾ドル(約1兆円)、最終損益は186億台湾ドルの赤字だった。
テレビ用パネルに比べて収益を確保しやすい車載分野でJDIと組むことで黒字転換を目指す考えだ。