薩摩藩と英艦隊が戦った翌、元治元年（１８６４年）の春、グラバーが建築士・小山秀之進に依頼していた南山手一番地の住宅、即ち『グラバー邸』が完成した。 建築士・小山はもちろん、木造づくりの日本住宅専門の建築士である。
このため、西洋造りのグラバー邸を建設する際、英人グラバーからいろいろな注文が出て、よほど建設工事をストップしようと思ったが、それに耐えての新竹完成であった。 グラバーは商売の利便性からいえば、出島の海よりの場所が良い。
しかし外国人居留地の一等地は、グラバー邸よりも一足先に長崎入りした連中がすでに借地していた。
このためグラバーは長崎港に出るまでには石段の坂を上り下りしなければならない。 しかし、わずか七、八分もあるけば長崎港に出られるので不便はあまり感じなかった。 それよりも自邸の南山手からの眺望をとても気に入り、長崎港の対岸、稲佐山、水ノ浦、鮑ノ浦、岩瀬堂、立神地区を飽かずに眺めていた。
グラバー邸は小山とグラバーの二人が、話し合いながら建てた家だけに、和洋折衷の面白い造りであった。
日本人にとってユニークと思われたのは、部屋の広さや、天井の高さもさることながら、何と言っても広い石畳のベランダであろう。 これはグラバーがスコットランドにいた折、父の官舎を始め、大きな家には必ずと言って良いほど広いベランダ（バンガロー）があったのを覚えていて、造らせたものである。
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このの来日、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。
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