日本ガイシの小林社長は「サブナノセラミック膜の実装にはエンジニアリング力の向上が必要」と説明(27日、名古屋市)
日本ガイシは27日、膜装置などを手掛ける独ボージック社の持ち株会社を買収すると発表した。
2億7000万ユーロ(約420億円)で全株式を取得し、完全子会社とする。日本ガイシは気体や液体から二酸化炭素(CO2)を分子レベルで取り出す「サブナノセラミック膜」の基礎技術を持つ。製品の実用化に向けて、M&A(合併・買収)で開発力を高める。
当局の許認可を得た上で買収する。5月までに手続きを完了させたい考え。ボージックは1837年の創業で、膜装置のほか石油化学メーカー向けの熱交換器なども手掛ける。
日本ガイシのM&Aとしては過去最大の規模となる。
名古屋市内で記者会見した小林茂社長は「サブナノセラミック膜の社会実装にはエンジニアリング能力の向上が必要」と買収の狙いを説明した。
化学メーカーや鉄鋼メーカーで脱炭素のニーズが高まるなか、実用化には膜を組み入れCO2などのガスを回収する装置を開発する必要がある。この装置開発でボージック社の技術を活用する。
日本ガイシは2031年3月期に新事業分野で売上高1000億円の確保を目指している。
サブナノセラミック膜は中核の一つと見込んでおり、ボージックの販路も活用して拡販につなげたい考え。31年3月期にサブナノセラミック膜の売上高300億円を目指す。