ブリュッセルの欧州委員会本部=ロイター
【グラナダ(スペイン南部)=辻隆史、フランクフルト=林英樹】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が中国製の風力発電タービンについて、補助金による支援で欧州での競争が不当に阻害されていないか調査を検討していることが6日、分かった。電気自動車(EV)で同様の調査を開始しており、域内産業を守る方針を鮮明にし始めた。
英フィナンシャル・タイムズによると、競争政策などを担当するディディエ・レインデルス欧州委員が仏テレビBFMに明らかにした。「中国による過剰な支援の可能性があれば、調査を開始できる」と語った。調査の結果、問題が認められれば制裁関税などを課す可能性がある。
EUは気候変動対策を推進するなか、2030年までに域内の電力消費量の43%を風力発電でまかなう計画を掲げる。足元での風力発電のシェアは17%で、目標達成には年平均31ギガワットの新設が必要になる。
デンマークのベスタス、スペインのシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーなど欧州の風力発電機メーカーの業績は悪化し、業界団体からは安価な中国製が流入すれば域内の産業基盤が崩れかねないとして欧州委に対応を求める意見が出ていた。
欧州委は4日、中国製EVに関する調査に乗り出した。相次ぐ措置に中国が反発するのは必至で、EU加盟国内には経済的な報復を恐れて慎重論もある。
日経記事 203.10.07より引用