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米ウクライナ資源合意、開発には課題 採算性判断難しく(日経2025.2.27)

2025-02-27 05:58:32 | NATO・EU・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


トランプ氏はホワイトハウスでの閣議で今回の合意の成果を誇った(26日、ワシントン)=AP

 

【ウィーン=田中孝幸】

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、米国と資源権益の協定案に合意したと発表した。

ウクライナ援助の資金回収を掲げてきたトランプ米大統領は取引が「1兆ドル(約149兆円)規模になるかもしれない」と成果をアピールする。

 

 

ただ、ウクライナの資源には埋蔵量など未公表の点が多い。採算性に不安があるなかで民間企業が積極的に関与するかは不透明で、実際の事業規模はトランプ氏の期待を大きく下回る可能性がある。

「(バイデン)前政権は我々を非常に不利な立場に追い込んだが、我々は資金を取り戻し、将来的には多額の資金を得るという合意を結ぶことができた」。トランプ氏は26日の閣議で、今回の合意の成果を強調した。

 

協定は両国が共同で基金を立ち上げ、ここにウクライナで今後開発される鉱物、石油、天然ガスなど天然資源からの収益の50%を拠出するのが柱だ。基金はウクライナの復興や安全を促進するための投資などに充てられる。

拠出対象になる将来の収入源には、すでにウクライナの歳入となっている分は含まないとの文言も盛り込んだ。同国の当面の財政破綻を避けるための措置だ。

 

ウクライナメディアによると、電気自動車のバッテリー製造に使用されるグラファイトなどの開発が期待される。同国には約1900万トンのグラファイトの確認埋蔵量があるとされる。

航空機や自動車部品、スポーツ用品まで用途が広い軽金属であるチタンも豊富で、同国は欧州における供給量の1割弱を占めている。バッテリーに使うリチウムの埋蔵量も欧州の3分の1を占める。

 

 

 

ウクライナには、欧州連合(EU)が重要鉱物と認定した34種のうち22種の鉱床がある。ウランやマンガン、黒鉛に加え、武器や電子機器に欠かせない希土類金属の鉱床も確認されている。

ただ、希土類金属など鉱物関連の多くの情報は旧ソ連時代から公表されてこなかった。

 

キエフ国立大地質学研究所のボロディミル・ミハイロフ教授は同国メディアに「すべての戦略鉱物の情報は機密扱いされてきた」と指摘。

鉱床の場所は公表されているが、埋蔵量に関する詳細な情報は未公表だと語った。

 

 

 

 

 

 

ゼレンスキー氏は米国が産業用に使うチタンの40年分を賄える埋蔵量がウクライナにあると主張する。ただ鉱床ごとの埋蔵量など詳細なデータがなければ、事業者が採算性を判断するのは難しい。

ウクライナ側の資源関連のデータの多くは旧ソ連時代の調査に基づいており、新たな資源探査も必要になりそうだ。トランプ政権が中国への依存脱却のために重視するレアアース(希土類)は、採掘しても加工する体制が西側諸国に十分に整っていない事情もある。

 

そもそもレアアースなど鉱物資源の多くは、伝統的に鉱業が盛んでロシアが実効支配する東部地域に埋蔵されており、今回の協定によって開発するのは困難だ。

ウクライナのスブリデンコ第一副首相兼経財相は23日、ロシアの支配地域に埋蔵される鉱物資源の価値は約3500億ドルとの推計を示した。

 

 

 
 
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日経記事2025.2.27より引用

 

 



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