ショルツ独首相㊨と共同記者会見に臨んだ岸田首相(12日、ベルリン)
【ベルリン=三木理恵子】
岸田文雄首相は12日(日本時間13日未明)、ベルリンでドイツのショルツ首相と会談した。防衛分野でインド太平洋地域へのドイツの関与を強化すると確認した。
共同訓練などを通じ部隊間の協力を深めていく。岸田首相は共同記者会見で「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だ」と強調した。
覇権主義的な行動を強める中国・ロシアの動きが念頭にある。日独両政府は首脳会談に合わせ、12日に自衛隊とドイツ軍が燃料などを融通し合い共同訓練しやすくする「物品役務相互提供協定(ACSA)」を発効した。
日本が同協定を結ぶのは米国、英国、オーストラリアなど実務的な防衛協力を進める国に限られる。
7月後半にはドイツ軍の空軍機とフリゲート艦を日本周辺に展開し、自衛隊と共同訓練する。ショルツ氏は共同記者会見で「時代の転換点に身を置いており、大きな変革を求められている。
国防力を高めて侵略者に対抗しないといけない」と指摘した。
2国間の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を早期に開催する方針も申し合わせた。日本とドイツはウクライナ侵略後、自国防衛の強化に取り組んでおり、共同訓練や防衛協議などを土台に抑止力を高めていく。
両首脳はロシアから侵略を受けるウクライナへの支援を継続・強化していく必要性を確かめた。日本は北大西洋条約機構(NATO)の枠組みも通じて貢献を探る。
経済安全保障に関する政府間の協議体の新設で合意した。対中国を意識して重要物資のサプライチェーン(供給網)強化で連携する。
「日独経済安保協議」を新設する。両国の外務省に加え日本は経済産業省、ドイツは経済・気候保護省の局次長級が参加する。
半導体や鉱物資源の調達で、特定の国・地域への依存を回避するための方策を議論する。経済活動で中国傾斜を防ぐリスク管理が目的となる。
2023年に立ち上げ、両首相が共同議長を務める政府間協議を定例化し、次回は25年にドイツで開催する。脱炭素に向けた二酸化炭素(CO2)貯留のルールづくりや、人工知能(AI)の有効活用、スタートアップ誘致でも協調していく。
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日経記事2024.07.13より引用