トランプ前大統領が再選されれば日米安保にも大きな影響が及びかねない=ロイター
日本の安全保障環境が大きく揺らいでいる。
ロシアはウクライナ侵攻に際し、核兵器の使用をちらつかせて米欧を威嚇すれば、ウクライナ支援を遅延させ、占領を既成事実化できることを学んだ。
北朝鮮や中国などがこの戦術をまねれば、日本周辺情勢は一気に雲行きが怪しくなりかねない。
強権諸国の攻勢を「前門の虎」とすれば、「後門のオオカミ」に当たるのが米国の不確実性の増大だ。
トランプ前大統領は現職時代、北朝鮮との3度の首脳会談に臨んだが、北の非核化に失敗したどころか逆に北に核軍拡の時間を与えてしまった。
そのことへの結果責任を感じているとは到底思われない人物が、あろうことか再選される可能性が消えていない。
こうした状況下で、日本にとっての安保戦略上の選択肢になりつつあるのが、米国以外の民主主義国、すなわち英国やオーストラリア、カナダ、独仏、北欧・バルト諸国などとの連携強化だ。
米国を除外するわけではないが、「非米民主諸国」という塊をつくっておけば、この先米国が安保面で漂流する場合に備えた「保険」にはなる。
英国とは、イタリアも交えた次期戦闘機の共同開発計画という結節点がある。計画を遅延させた動きもあったが何とか軌道に戻った。
今後計画が実現すれば日英を約40年にわたりつなぐ絆となるだけでなく、日本の防衛産業の再興にも寄与する。防衛装備品輸出は仲間を増やす意味合いが強く、次期戦闘機の第三国への輸出が実現すれば、それはそれで日本の安保環境改善につながる。
豪州と日本の防衛当局はこのほど無人潜水艇の運用に関する共同研究をすることで合意した。
国防の現場での省人化はどの国にも急務で、切り札になるのが無人機だ。無人潜水艇の開発が量産と配備に進めば、モノづくりに強い日本企業の参画の余地が広がる。
カナダは日本製の通常動力型潜水艦に関心を示しており、輸出が実現すれば日本企業への波及効果も大きい。
海上自衛隊の潜水艦「たいげい」(2022年11月)
この局面で気をつけたいのが、これら国々との関係強化に水を差す不祥事だ。
富士通の子会社が英国の郵便局に納入した会計システムにエラーがあり、その結果、多数の郵便局長らが横領など無実の罪を着せられた不幸な事件では、同社は既に謝罪し、補償に動いている。
日英関係がかつてなく重要になってきた今のタイミングで、対日イメージの悪化を招きかねない同事件が注目を集めるのは日本にとっては非常に間が悪い。
「非米民主諸国」との関係強化は、国にも企業にも今後ますます重要になるだけに、企業には積極的な投資と、不祥事の未然防止の双方が求められる。
市場関係者も、関心を持って見守ってほしい。
[日経ヴェリタス2024年3月31日号]
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正論です。
日本のトランプ・プーチン支持者は、信じられないくらい頭が悪い。
馬鹿は死ななきゃ治らない!