イオンモール幕張新都心ではリニューアルが進む
千葉市に本社を置くイオンモールの旗艦店、イオンモール幕張新都心(美浜区)は国内屈指の広さを誇るショッピング施設だ。
2023年3月には店舗の目の前にJR京葉線の幕張豊砂駅が開業し、1年が経った。駅周辺の整備をにらんで幕張新都心店では店舗リニューアルを進めてきた。同店舗責任者の小林純一ゼネラルマネージャーに展望を聞いた。
――JRにとって千葉県内四半世紀ぶりの新駅となった京葉線の幕張豊砂駅が開業し1年がたちました。
「幕張豊砂駅開業後、店舗全体の半分ほどを改装している。幕張新都心店は開業して約10年がたつので、テナントも最新のものにアップデートしてきた。新駅ができて、新たな顧客を獲得できた。
今まで足が遠かった方や何年も来ていないといった方を呼び戻すきっかけにもなったのでは。新駅開業をきっかけに、店自体の認知が高まった」
「(鉄道駅ができる前までは)クルマでの来店が中心だったが、実は台数は減っておらず、むしろ増えている。新駅開業による話題性や、リニューアルなどで来店客数が2022年度比20%増えた」
「京葉線は武蔵野線とも連絡しているため埼玉県や、外房・内房方面からも顧客来店の選択肢となった。こちらとしても隣接する豊砂公園では、サーカスや台湾祭など話題性が絶えないよう、イベントなどを途切れず続けてきた。そういった効果もあるのでは」
イオンモール幕張新都心の小林ゼネラルマネージャー
――リニューアルでこだわった点は。
「幕張豊砂駅前に位置する旧ファミリーモールの名称を『エキマエモール』に改名した。木目調で緑にあふれ、『スターバックス』や『蔦屋書店』のような居心地の良さをモールの中で感じられるようにした」
――京葉線沿いでは南船橋の「ららぽーとTOKYO-BAY」など競合もあります。
「うちはファミリー向け中心で、居心地の良い場所を提供している。開業当時から、買い物にとどまらず『コト』を楽しむつくりだ。隣接する豊砂公園には子供向けの大きな遊び場をつくっている」
「館内のソファの数にもこだわっており、商業施設の中では類を見ない多さだと自負している。家族で買い物にくると、それぞれ楽しみ方が違い、どうしても待ち時間が発生するため『いかに疲れさせないか』を意識している」
――地元千葉市との連携も進めています。
「幕張新都心は習志野市との市境で千葉市の端というイメージになりがちだ。ここ数年は千葉市内の南側などへの販促に力を入れてきた。来店客は9割が県内、5割が千葉市内からくる。千葉市や千葉県としっかり密着している。インバウンドも増えているが、あくまでも地元に愛されているモールだからこそ、インバウンドや広域から人が訪れる店になる」
イオンモール幕張新都心エキマエモール(旧ファミリーモール)は新駅幕張豊砂駅の目の前
――今後の幕張新都心をどのように見ていますか。
「幕張新都心は元々(道路や人の動線が)直線的で、中核の海浜幕張駅から幕張メッセ、もしくはマリンスタジアムへ、という直線型の都市だった。その人の流れを回遊させる目的でできたのが幕張豊砂駅だ」
「例えば、首都圏の大型コンベンション施設のアクセス案内に『駅から商業施設を通って徒歩何分』といった説明文が書かれている。幕張豊砂駅前にも千葉市が幕張メッセやマリンスタジアム方面の看板も掲げている。幕張新都心でも回遊性が広がれば、と期待している」
(聞き手は桜井芳野)
日経記事2024.03.28より引用