どうも、ren.です。
くしゃみをすると「くしゃみ一つで褒められ、二つで貶され、三つで……」と考えてしまう世代。
三つで怒られるかルル三錠かはその時次第w
● 「偉人画報 三峯徹」 金平正人・稀見理都/YKコミックス
男性ならおそらく誰もが知っている謎の人、三峯徹。
雑誌の読者コーナーに独特の絵柄とポエムが載っている投稿者。
その主な掲載誌は、世にあるほぼ全ての成人漫画雑誌。
何しろ、ショタエロアンソロジー黎明期(□ミオだったか厨子〇だったか他だったか忘れちゃったけど)の投稿ページでもその絵を見ました。
その存在は一般読者にも広く伝わり、曰く「三峯徹の載っている雑誌は休刊にならない」だの、「三峯徹が載ってこそメジャー成人誌」だの、都市伝説が生まれるほど。
そんな三峯徹さんの半生を完全漫画化。
ヤングコミックに掲載され、単話売りもされた作品が、ついに物理書籍化。
マンガだけでなく、コラムや資料もびっしり詰まった263ページ。
三峯さんの子供時代、性の目覚めとエロ雑誌との出会いから始まり、懸賞応募から始まった投稿道、長い投稿生活の中で起きた紆余曲折、挫折と栄光、そして近年には脳梗塞を経験し、再びはがきに立ち向かう姿を見事に描き切った作品です。
その人生はまさに偉人まんがにふさわしい、ドラマティックなものです。
最終ページは思わず涙がにじむこと間違いなし。
……そして描きおろしでずっこけるのも間違いなしw
私もほぼ同年代なので、作中に登場する当時の美少女漫画雑誌はたいてい目にしていますし、ち密に模写された表紙を老眼を皿のようにして眺め、そこに描かれた掲載陣に「いたいた!こんなエロ漫画家!」と時間を忘れてしまいました。
作中・コラムでは当時の世相も描かれており、宮崎事件当時の私は学生時代直撃でオタクバッシングの被害者として、心の痛みが蘇りました。
稀見さんのまとめられているコラムには、当時の雑誌世情が軽くも詳しく書かれており、SNS発達以前のオタクコミュニケーションの実情がこれまた懐かしくありました。
月刊紙における"レスポンスを1か月待つ"というドキドキ感は、今のSNSの即レス時代には想像できないのでしょうね。
そんなSNSに駆逐された「ファンロード」などが、ネット上に投稿者の居場所を作らなかったのは惜しいことだと思います。
お題投稿特有の盛り上がりや編集者コメント、そして読者同士のプロレスといった"読者コーナーの在り方"は、自由奔放過ぎるSNSにはないものでしたから。
今こそ"webファンロード""web投稿時代(Out)"が求められるんじゃないですかね!?
閑話休題
"三峯徹伝説"が都市伝説のように広まり、それが本人にも知られ、雑誌取材やイベント、さらには「タモリ倶楽部」出演という形で顕れていく辺りは、インターネット時代の特色ともいえるのでしょうね。
よく言えば認知力が上がりやすく、悪く言えば暴かれやすい世の中になった。
そんな中で自分を見失わないのが難しいのは"炎上"というネット特有の超可燃性で知られますが、己が道を迷わず進める三峰さんの姿は、まさに時代の理想と言えるのではないでしょうか。
見習いたい姿勢。
「三峯ギャル」についても、"確かに安定した画力"は、ただ上手い下手では語りつくせないと思います。
作中、ヘンリー・ダーガーになぞらえられていますが、「漫画ホットミルク」編集長の斎藤O子さんに直接「うまくならなくていい味がある」と言われて開眼した三峯さんの独立独歩としたところは、画壇に評価されずもやがて技法や遠近法にとらわれずに自らのスタイルを作り上げた"現代絵画の父"セザンヌに重なるものがあると私は思います。
いや、セザンヌこそ"現代絵画の三峯徹"なんだよ!(暴論)
誰にも知られず、誰にも知られる三峯徹さん。
スパイダーマン以上の"あなたの親愛なる良き隣人"であります。
実は私は三峯ギャルがVtuber化(後に"三峯最下(もが)"と名前が決定)した際にTwitterで話題にしたところ、ご本人に捕捉されフォローされてしまうという珍事がありましたw
当然、私もフォローを返しているので相互フォローです。
ほんと、いい人やぁ。
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