三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【木を切る道具〜木造建築のルーツ・石斧】

2018年12月21日 07時45分11秒 | Weblog


ことしもあと10日ほどになりました。
本日はわが社でも忘年会ということで、慌ただしさのなかのいっとき。
しかし今年はいろいろな考古学の成果が既成概念を塗り替えてくれた。
というか、不勉強だったので、ようやく自分のやってきた仕事領域と
人類史的な視点とが合体を見せてくれたように思います。

わたしは考古学とか、人類史とかは大好きな領域であります。
こどものころは勇壮な戦国時代への興味が旺盛だったのですが、
年を経るにつれて、もっと初源的なことがら、事実への興味が深まってくる。
で、さまざまな経緯があって、住宅雑誌を30年以上継続発行している。
人間と住宅ということと、この歴史・考古興味とは従来、なかなか
同心するきっかけが無かったように思われるのです。
大学に行って建築の先生たちとも交流することが増えてきていますが、
そこで素朴に「住宅の歴史はどの辺から教えられるのですか」と聞く。
大体が「熱環境系」や「デザイン系」の先生との交流が多いこともありますが、
そうすると、やや一呼吸があってからようやく「竪穴住居から、ですかねぇ・・・」と。
おかしいなぁとわたしなどのエイリアン系建築界闖入者は思ってしまう。
だって、人類は100万年規模の歴史があって、
現生人類史としても7-8万年というように規定されている。
竪穴住居というのは、「定住」生活が始まってからのものなので、
どう考えても1万数千年が限度ではないかと推定されている。
それ以前の狩猟採集で、移動生活の方が人類は長いハズなのです。
そういった暮らしの時代の「住宅」概念はどうであったのか、
あったのか、なかったのか、という部分に激しく興味を持たざるを得ない。
住宅雑誌をやっていると、必ず「住宅取材」という行為があるので、
「どうしてこういう家にしたのですか?」
というのが、もっとも根源的な興味であり問いかけだからです。
その同じ質問を、人類全体の歴史に対して発してみたくなるのは自然。

こういった初源への強い興味がことしは大きく前進した。
そうなんですね、初源的な「木を切る」道具である「石斧」の歴史解明です。
だから家の材料としての木材は「石器時代」に遡ることは確実なのですね。
さらに、どうやら石斧で木を切り始めたのには、
家を建てるのが最初の理由ではなく、「舟を作る」ことの方が
初源的にはきわめて決定的動機だったことが見えてきた。
人類は「グレートジャーニー」という地球上の大陸制覇という偉業を達成したけれど、
このことへのきわめて大きな役割を石斧は果たしたようなのです。
石斧に適した石を、木の棒状のものに「くくりつける」技術は
さてどこから来たのか、というのも重要なピースではありますが・・・。

ある歴史展示施設で、ふたたびこの「石斧」の情報に接して
ことしのこの大きな発見体験が身体中を駈けめぐっていました。
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