藍子ちゃん(菊池和澄さん)のモンスタークラスメイトは赤木留美子(アカギ・ルミコ)(藤崎花音さん)(@『ゲゲゲの女房』)。「先生に言いつける」をちらつかせていたずら男子軍を撃退、恩を売った上で「私をモデルにしたルミコって女の子を『鬼太郎』のアニメに出して」と藍子ちゃんに難題を吹っかけ、「できないならできないって、最初から言えばいいじゃない、期待させておいてウソツキ」と仲間外れペナルティを課す、政治家もびっくりの“小さな策士”“腹黒ちゃん”でした。
小学校も3~4年になると、こういう、世渡り計算上等な子がどのクラスにも、もれなくひとりはついてきますな。ガタイ能力で決着をつけたがる男子より、クチ先回路の発達が早い女子に多い。まー所詮はガキレベルの謀略なので、どこかで“策士、策に溺れる”式に手痛い目に遭って、いっときは素直になって見せるんですがね。雀百までの喩え通り、死ぬまで人の顔見てはハラの中で加減乗除、全体集合部分集合、方程式三角関数、ちゃっちゃか組み立てて生きて行くんでしょう。
藍子ちゃん視点で見守る視聴者からは嫌われ役になるので、子役さんにはちょっと気の進まないお仕事かな?と思いましたが、少女誌表紙風の指先アゴ杖が似合う藤崎花音さんナイスジョブ。かわいい昭和のお嬢さまワンピがいろいろ着られたので、まあ役得もあったということで行って来い。女性向けドラマにおける高慢いじめ役って、回り回って結構おいしいポジションなんですよね。
笑ったのは昨日(20日)放送回で、布美枝お母ちゃん(松下奈緒さん)手づくりのプレゼントをこっそりゴミ箱に捨てようとしてイカルばあちゃん(竹下景子さん)に見つかった藍子が、喫茶“再会”でばあちゃんと差し向かい、アカギ・ルミコちゃんの誕生会案件を相談する場面で、店内に流れていたBGMがさりげなくコヤナギ・ルミコさんの『瀬戸の花嫁』でした。こういう小ネタの埋め込み→発掘は作るほうも見るほうもめちゃめちゃ楽しいけど、大丈夫なのか。本家小柳ルミ子さんにほのか~な権利関係は発生してこないかしら。昭和47年、特に前半は世を席捲した大ヒット曲でしたが、賞レースでは秋リリースのちあきなおみさんの『喝采』と星を分けました。
小柳さんと言えばもちろん昭和46年『わたしの城下町』のデビューヒットで、当時の日本国有鉄道が仕掛けた観光キャンペーン“ディスカバー・ジャパン”ブームの一翼をも担った昭和歌謡の代表歌手であるとともに、その後女優としても長く活動され、TVデビューはほかならぬNHK朝ドラだったはずです。
『虹』というタイトルで、小柳さんの母親が南田洋子さん、『ゲゲゲ』の布美枝さんと同じ専業主婦ヒロインでしたが、月河、なにしろ子供だったもので、夏冬休みか風邪引いて休んだ日ぐらいしか見ていませんから、旦那さん役が誰だったかまるで記憶がない。影のうすい旦那だったのかしら。途中で未亡人になるストーリーだったかもしれない。ウロ覚えですみません。
とにかく小柳さんは、ふたりいる南田さんの娘のうち、おっとり、じれったいめの長女のほう。おませ系で勾配のはやいメガネっ子次女役は、当時のベテラン子役・永野裕紀子さんだったと思います。
このドラマが放送終了してすぐ、『シャボン玉ホリデー』で『城下町』を歌う小柳さんを初めて見たときには、あの二の線のほうの娘さん役の人、歌えるんだ、と軽く驚きました。宝塚音楽学校首席卒業(初舞台のみで退団)という経歴を知ったのはずっと後です。歴代の中には『ぴあの』純名里沙さんや『てるてる家族』紺野まひるさんなどジェンヌさんヒロインもいますから、当時は典型的な“ホームドラマ顔”だった小柳さんも一度は朝ドラヒロイン役、いってみたかったところではないでしょうかね。それより先に歌が大成功して、長丁場の連ドラ主役が無理になってしまい、痛し痒し。
一昨年の昼帯ドラマ『白と黒』での“おとなの妖精”的な役・青の館の彩乃さん以後、演技する小柳さんをTVで見かけていないような気がしますが、同世代の竹下景子さんが老けづくりでおもしろ猛烈なお祖母ちゃんをこれだけ見せてくれているのですから、小柳さんの孫持ち役もそろそろ、朝のこの枠で来てもいいような気がしますよ。色っぽくてはっちゃけたお祖母ちゃん。未矯正の八重歯がチャームポイントだったお若い頃は、ドリフの番組なんかでよくネタで「鬼ババ」なんて言われていましたから、踊るおババってのもいいかも。
ある意味、朝ドラって、祖父祖母のキャラ、キャスティング次第な世界でもありますからね。
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