『相棒 season 9』と言えば、神戸くん(及川光博さん)、参入3シーズン目とあって、衣装が結構ヴァリエーションに富んで来ましたよね。season 7の最終話“特命”で初お目見えの頃は「おミズの黒服っぽいだけ」だった印象ですが、最近は特にインナーのシャツに凝っている。
全体として、ライトにホワイトにならないよう、あくまでダークに、かつ堅物公務員ぽくなく、優等生的清潔感はないものの不潔でもないという、狭ーいエリアの中に着地させていますよね。シルエットはあくまでスリムでスレンダー、硬派か軟派かで言えばはっきり軟派。でも派手派手ではないという。非常に微妙な線に落ち着けて、それ一本で押し通しています。
肩幅の細い、軟弱系ラインで決めてみると、ミュージシャン、アーティスト活動も含めスタイリッシュなイメージだった及川さんも、細身ながらに意外と頭デカの昭和なプロポーションの持ち主だったことがわかったりして。
『相棒』のような、言ってみればキャラもののドラマで、毎度毎度登場のたびに着ているモノに気を取られて仕方がなくならないように、“そのキャラ固有で独特だけれど、一本調子”な衣装のラインを決めるのって、結構、大変だろうと思うのです。
右京さん(水谷豊さん)にしても、あの年代で、身長小ぶりでちんまりオールバックのおじさまでとことん英国調の上下で決めている人って、リアルにそこらへんで出くわしたら「なにこの人!」と相当なインパクトでしょうが、劇中で毎度毎度だと、「これが右京さんスタイル」という空気のような安心感があるから、話の筋を追う邪魔にはなりません。
前任相棒の亀山くん(寺脇康文さん)も、シーンごとに違うエンブレム付きのフライトジャケ、しかも神戸くんよりかなり長身の好ガタイでしたから、普通に考えれば相当異様な私服刑事です。でも、「それが亀ちゃんスタイル」と思うから、エンブレムの違いに毎シーン引っかかることもなく、たまにスーツにタイで登場したりすると、状況や心得の尋常でなさを窺わせる効果があった。
言ってみれば、スーパー戦隊の“○○レンジャージャケ”と同じですね。ユニホではない、レッドはレッドなり、ブルーはブルーなりの個性はある。でも、エピソードやシーンが変わるたび、衣装のお洒落さユニークさに気を取られて、似合う似合わない、カッコいいカッコよくないと、話の筋がおろそかになるほどの主張はない。
つまり、“見慣れた一定レベルのカッコよさ”が保証されている。
で、たまにいつものラインから外れる“らしくない格好”をすると、それが一般市民的にありふれたなりであればあるほど、“コスプレ効果”があり、「こんななりをするということは、コレよほど追い詰められているか、異常な事態だ」と印象付けることができる。
『相棒』ファンって、結構“戦隊ファン率”が高いのではないかなと月河が思う所以です。『炎神戦隊ゴーオンジャー』にも、特命係(っぽいの)出てきましたし。
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