西條奈加『まるまるの毬』
★★★★☆3.5
【Amazonの内容紹介】
親子三代で菓子を商う「南星屋」は、売り切れご免の繁盛店。
武家の身分を捨て、職人となった治兵衛を主に、
出戻り娘のお永と一粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、
他人に言えぬ秘密があった。
愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、
読み味絶品の時代小説。
吉川英治文学新人賞受賞作。
****************************************
Amazon Audible にて。
将軍のご落胤である和菓子屋の主人と、その娘・孫娘 の三人家族。
この設定、どっかで聞いたことがあるぞ……と思ったら、
この本のクライマックスとでも言うべき最終話を、
かなり昔に文芸誌掲載時に仕事で読んでいたのだった。
くすりと笑える箇所もあるし、
第1話から読んでいるとやはり登場人物たちに愛着がわいてくるので、
筋を知っていた最終話も、その積み重ねの後だと心に響く。
派手さはないけれど、しみじみとよいお話だった。
反省しない悪役が主人公に投げかけた言葉が、
主人公の救いになる展開もうまい。
「心淋し川」も読んでみます!
西条さんは、直木賞の心淋し川もよかったな。
うちの夫は、西条さんが好きすぎて、誤って「まるまるの毬」を2冊買ってしまったよ。
好きなのに(あんなに印象的な)タイトルを覚えられない。残念。