金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

73:西加奈子 『さくら』

2007-06-07 13:56:23 | 07 本の感想
西加奈子『さくら』(小学館)
★★★☆☆

愛し合う両親にヒーローのような兄、平凡なぼくと
美しい妹、犬のさくら。
幸福な家族に降りかかる不幸と、そこから立ち直るまでの
軌跡を描く家族小説。

高山なおみさんの『日々ごはん』で紹介されていたもの。
犬が出てくる話だというのは知っていたので、
愛犬をめぐる感動ストーリーとかだったらどうしよう……
(動物好きなわけではないので)と思っていたのだけど、
想像していたのとはまったく違う話でした。
むしろなんでタイトルが犬の名前なんだ、ってくらいの。
前半だけだったら★4.5。
光るエピソードもあって、かなりおもしろく読めました。
後半に来て、一気に気持ちが醒めてしまった。
いくらなんでも詰め込みすぎじゃないだろうか……。
なんだかいかにも作り物めいたテレビドラマっぽい。
ほろりと来るようなラストも、それで魅力半減してしまった感じ。
本をよく読む人にはおすすめできないなあ~。

あと、連発される「しかと」のひらがな遣いと、
ある少女漫画を連想させる犬のしゃべり方が気になって
仕方ありませんでした。

前半が好きだっただけに、残念!

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72:高山なおみ 『日々ごはん〈7〉』

2007-06-05 10:28:42 | 07 本の感想
高山なおみ『日々ごはん〈7〉』(アノニマ・スタジオ)
★★★☆☆

⑧の感想を書いたときに、
「あれ、⑦飛ばした? おかしいな」
と思っていたのだけど、読んでみたらやはり既読でした。
なぜ感想が残っていないのだろう……?
日記を一掃したときに、いっしょに消しちゃったんだろうか。

そんなわけで読むのは二度目。
だんなさんのことが大好きなんだなあ……とあらためてほのぼの。
⑧を読み終わったときに猛烈にじゃがいもが食べたくなって、
しばらくの間、じゃがいも祭りになっていたのだけど、
また食べたくなってきました。塩とバターだけで。
あと、インスタントラーメンも。

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71:瀬戸内寂聴『女人源氏物語〈下〉』

2007-06-04 14:24:05 | 07 本の感想
瀬戸内寂聴『女人源氏物語〈下〉』(小学館)
★★★★☆

下巻は「初音」から「夢浮橋」まで。
メインは女三の宮と柏木の密通、浮舟をめぐる薫と匂宮の三角関係。

源氏死去の巻が伝わっておらず、
宇治十帖も尻切れトンボで終わっている……という原作の事情から
しかたないことではあるのだけれど、どうにも締まりのない印象。
みどころは昼ドラチックな密通→源氏の女三の宮&柏木いじめ。
もはや変質者の領域に達した柏木の言動も素敵すぎです。

「美しくはないが性格がよい」と評判の花散里だけれども、
こうもことあるごとに不器量だと言われていたら
絶対に性格ゆがむと思うなあ……
そしてこれは瀬戸内源氏オリジナルだと思うのだけど、
源氏と藤壺の秘密が女たちにバレすぎです。
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70:辛酸なめ子 『自立日記』

2007-06-01 17:11:16 | 07 本の感想
辛酸なめ子 『自立日記』(文春文庫)
★★★★☆

漫画家・辛酸なめ子の3年分のWeb日記を編集したもの。
雑誌にもしばしば登場し(作品じゃなく本人が)、
ヴィレヴァンにもずいぶん前からコーナーができていて、
気になっておりました。
この人の本は『辛酸なめ子のセレブドリル』『アイドル万華鏡』を
立ち読みしたくらいで、漫画にはほとんどお目にかかったことが
ないんだけど……。

謙虚で乙女チックな世界にちくりちくりと意地悪が見え隠れ。
「通りすがりの人にこんなこと思われてたらやだなあ」
と思わされるところも多々あるのだけれど、
ブラックな部分とそうでない部分のバランスが良くて
くすりと笑わせる。
『アイドル万華鏡』を読んだときには、その内容から、
さぞかし意地悪そうな顔をした女にちがいない……と
思っていたのだけどこの人可愛いよね。
著者近影を見てあらためて思いました。

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69:川上弘美 『光ってみえるもの、あれは』

2007-06-01 11:17:49 | 07 本の感想
川上弘美『光ってみえるもの、あれは』(中央公論新社)
★★★★☆

ちょっと変わった家族(未婚の母・祖母)と遺伝子上の父親・大鳥さん、
友人の花田、ガールフレンドの平山。
個性的な面々に囲まれて、どこか上の空で過ごしていた高校生の翠。
「世界にシミシミと溶けこむと困る」と花田がセーラー服を着て
登校しはじめ、平山との間にもすれ違いが生じ……
夏休み、大鳥さんを追って花田とともに五島列島へむかった翠は
内面に変化を迎えることになる。

男子高校生の一人称による青春小説、ということで
最初は「えっ、これほんとに川上さん?」とかなりの違和感。
ゆらゆらした雰囲気は確かに川上さんなのだけれど、
別にこの人でなくても……という感じ。
ただし後半は川上ワールド確立!で引き込まれました。
キタガーくんと花田くんがいいよね。

主人公がいかにも「女性が書いた男子高生」なので、
特に男性からは「男子高生はこんなもんじゃない!」と
文句が出そうではあるのだけれど、
男子高生って言ってもいろいろだし、
リアルなだけが小説の価値じゃないしね。
単純に小説の世界に浸れれば楽しめると思います。
しかし、主人公がそんなタイプのせいか、
後半の花田くんとのやりとりがへんにホモホモしくて困った。

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