金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

89:哈日杏子 『哈日杏子の爆烈台北』

2012-07-31 08:14:59 | 12 本の感想
哈日杏子『哈日杏子の爆烈台北―現地発台北ガイドCD付』(アルク)
★★★☆☆

秋に台湾に行くので。
2002年に出たこの本はもう情報も古くなっちゃってて
使えないだろうな……と思ったんだけど、
図書館で見つけて、懐かしくなって借りてしまった。

この本が出たばかりのときだと思うのだけど、
新聞の書評でこの本が取り上げられていて、
「哈日」(ハーリー:日本好き)という造語とその現象が
なぜだか非常に印象に残っていた。
写真はカラーじゃないのでよくわからないし、
料理名なんかもルビが振ってないのでわからないままだし、
不親切な部分はたくさんあるんだけど、
夢はふくらむし、CD付きってところがいいよね(まだ聞いてないけど)。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NHK大河「平清盛」レビュー30

2012-07-30 20:48:53 | NHK大河「平清盛」レビュー
【今日の重盛】

笑 っ た !!!!!

****************************

オリンピックのために、
いつもより1時間遅れの21時開始だったはずが、
結局22時まで待たされて、ようやく見られた。

初のホラー回。

崇徳院大暴走。
途中でちがう番組になってた。「エクソシスト」みたいな。


隠岐に流された清盛界の元祖・薄幸系根暗男子の崇徳院。
地元のおじさんとも交流しちゃって、
心穏やかに暮らす日々のなか、保元の乱を引き起こしたことを
反省した崇徳院は、写経したものを後白河に送る。
一方、都では、すっかり子煩悩になっていた後白河が
「あんなオレを恨んでたやつが簡単に悔い改めるはずがない」
と経を送り返すよう指示。
そしたら、ナイスタイミングでだっこしていた赤ん坊が、
経を破っちゃった……あーあ。
もちろん後白河のこと、
「うちのベビーがごめんね☆」
とわびを入れるわけもなく、
破られて突っ返されてきた経を見た崇徳院は大ショック。
追い打ちをかけるように、我が子の死を知らされた崇徳院、
絶望して自分の舌を噛み切り、いきなり
「日本国の大魔王になってやるゥゥ~!!」
とメタモルフォーゼ。
薄幸そうな憂い顔はいったいどこへ、特殊メイクで妖怪に変身。
怖いよ~!!!

崇徳院のメタモルフォーゼも結構なインパクトだったけど、
今回ショックだったのは基盛だよ!

早く出かける支度しろと重盛にせかされ、
「弟たちの世話をしてるほうが性に合ってる」
となにやら兄任せで表へ出て行こうとしない様子。
そんなときに、ヤンキーチャラ男の時忠に誘われて、
滋子の産んだ憲仁を東宮にする企てに乗ったのが露見し、
官位を返上するはめに。
謝りに来た基盛に語る清盛。

「お前は昔のオレと似ている。できのいい兄弟がいると、
甘えてしまうもの」
「お前も重盛もほこらしい我が子」

清盛も大人になったね……
父のセリフとしては忠盛以上の優秀さじゃない??

そんなこんなで、急に基盛にスポットライトがあたり始めたので、
もしやそろそろ……? と危惧していたら……

いきなり死んでた。

出番は少ないながら、笑顔がキュート
結構気に入ってたのでショック~
高野山に向かう途中、川を渡ろうとしておぼれてしまったとのこと。
運動神経のいい基盛が溺れるなんて……と語っていた一門の前で、
やはり出てきた西行が、これは崇徳院の呪いだと言う。

西行さん……
まるで他人事のような口ぶりだけど、
アナタ、崇徳院とボーイズラブ的な世界に片足突っ込んで
「義清」「義清」と好かれまくってたよね?
「帝の力になりたい」とか言いながら、母ちゃんに手を出して
途中から「待賢門院様を救いたい」って
完全に目的が変わってたよね?
挙句の果てに、最後は崇徳に何も言わずに出家してたよね、
ずっとそばにいるみたいなこと言ってたのに!
今生きている人間の中で、後白河と並んで真っ先に呪われても
おかしくないのはアナタだと思うんですが……

なぜか崇徳院の呪いは平家一門に向いたらしく、
清盛は一門の総力を結集して厳島神社に奉納する経典を作成。
出番が少ないながら、こういう細かいエピソードでも
教盛あたりのキャラクターをちゃんと出してるところがいいよね。
呪いの嵐に襲われながらも、厳島神社へたどり着いた平家一門。
悪魔つきのようだった崇徳の姿が最後に人間っぽく戻ったのは
何? 電池切れ??

兎丸の恋話の続編はいったいなんのためなんだよ!
と思ったけど、あれは重盛の笑顔のためだね!
「笑顔どころか泣き顔だよ今日は……」
と思ってたので安心した。

【その他いろいろ】

・忠通退場。
 最後のこのお願いのせいで、幼女がおっさんの餌食に……

 
・「昔の血が騒ぐぜ!」な盛国。

・兎丸が余計なことを言ったせいで、
 清盛が福原遷都を思いついてしまった。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

88:横森理香 『早起き生活のススメ』

2012-07-30 07:40:05 | 12 本の感想
横森理香『早起き生活のススメ』(アスペクト文庫)
★★★☆☆

実はここ一か月くらい、ずっと早起きができている。
暑くて暑くて、明け方に目が覚めてしまうから。
しかし、気の重い仕事が始まるので、
「行きたくないよう、起きたくないよう」
となったときのためにモチベーションアップを
図ったのだった。

いまリストを見てみたら、この人の本、
ほかにも何冊か読んだのに感想を書き忘れてる……
『横森式シンプル・シック』
『地味めしダイエット』
は確か昨年読んだはずだが。
語り口というのか、文章の書き方が
「ちょっと前の時代の人」という感じで
それが気になるし、
「こういう風になりたいな」
と憧れるような感じではないのだけど、
早起きの快適さは伝わったし、やる気も出た。

「私はあまりにも清らかになりすぎて、
 山に篭もりたくなってしまったのです」
のところで笑った。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

87:梨屋アリエ 『ココロ屋』

2012-07-28 08:23:23 | 12 本の感想
梨屋アリエ『ココロ屋』(文研出版)
★★★☆☆

友だちとケンカして、先生に「ココロを入れかえなさい」と
しかられた「ぼく」(ひろき)。
教室から逃げ出したぼくの前に、ふしぎな音とともに
「ココロ屋」のウツロイ博士が現れた。
研究のために自分のココロを預けるかわりに、
博士がつくったさまざまな種類のココロを
手に入れることができるという。
みんなから好かれるようにまずは「やさしいココロ」を
選んだぼくだが……

*****************************************

今年の小学校中学年の読書感想文コンクール課題図書。
著者の作品は3冊しか読んでいなかったので
あくまでもその時点での認識だったのだけど、
「好きな人はこういうところが好きなのだろうし、
 嫌いな人はそれが嫌なのだろう」
という好き嫌いを隔てる強烈なクセみたいなものがある
作家さんだと思っていた。
でもこの本にはそのクセを感じなかった。
灰汁のない、明るくて前向きな話。

自分のココロ(性格)にまつわる話だし、
中学年の4冊の中では、これがいちばん
自分に引き付けて考えやすいのではないかなと思ったのだけど、
意外なことにそうではないみたい。
放っておくと、子どもは
「ウツロイ博士の顔はなぜ変わるのか」とか
「廊下がなぜ長くなるのか」とか、
答えの出ない不思議部分にばかり着目してしまうし、
自分の欠点に目を向けるのに抵抗があるのかしら……
主人公や、身近にいる他人の性格や行動を取沙汰することは
できても、「自分は?」というところになかなか目が向かないみたい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

86:森本和子 『楽園をつくった男―沖縄・由布島に生きて』

2012-07-27 07:14:45 | 12 本の感想
森本和子『楽園をつくった男―沖縄・由布島に生きて』(アースメディア)
★★★★☆

八重山諸島の一島・砂だけでできた由布島を開拓し、
ひとりで「楽園」を作ろうとした西表正治氏の生涯を
描いたノンフィクション。
ANAの機内誌『翼の王国』で由布島が特集されていて、
参考文献としてこの本が挙げられていたのだった。

児童書としても通用するような易しい言葉で書かれていて、
わりと表面的な内容にとどまるところが多いのだけど……

西表氏と奥さんの二人が水牛車に乗っている写真で
なぜだか泣かされてしまった

栄養失調で失明しかけ、妻と10人の子どもの生活を背負う者として
子どもが可愛がっていた犬を殺して食べてしまうくだりでも
ほろりときてしまったが、妻子のために戦い続けた人の
追い求めたものが「楽園」だってところが、
美しいばかりではない沖縄のイメージともあいまって、
また泣かせる。

残念ながら絶版。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

85:宮下奈都 『よろこびの歌』

2012-07-26 08:25:24 | 12 本の感想
宮下奈都『よろこびの歌』(実業之日本社)
★★★★☆

著名なバイオリニストを母に持つ御木元玲は、
声楽を志していたものの、合格すると思い込んでいた
音大附属高校の受験に失敗し、音楽に対する意欲を失う。
音楽科のない新設女子校の普通科に進んだ玲は、
クラスメイトたちと関わろうとせずに一人で学校生活を
過ごしていたが、校内合唱コンクールの指揮者に推薦されたことを
きっかけに、玲の心とクラスメイトたちとの関係に
変化が訪れる。

*****************************************

玲とそのクラスメイトたちを主人公にした連作短編集。
仕事で部分的に読んでしまったので、読みながら
「あ、ここ読んだ」
と途中で興がそがれてしまったりもしたのだけど、
それでも文章が読みやすいので
作中世界に引き込まれてしまう。
正直なところ、わたしは音楽に興味があまりなく、
音楽の力というのも実感した経験がないので、
みんなで突然歌いだしたり、
歌の方向性について真剣に語り合ったりする場面で
「女子高生が、こんなふうになるんだろうか……」
とも思ってしまうし、玲に対する周囲の認識が変わるのも
リアリティをもって受け止められなかったんだけど、
熱血しない青春モノというのもいいなあと思う。
玲以外は、一人称になると特にキャラクターの違いが
あまり感じられなかったのだけど、
それぞれに斜に構えたところがありつつも、
素直でかわいらしく、みんな好き。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

84:重松清 『きよしこ』

2012-07-25 09:35:25 | 12 本の感想
重松清『きよしこ』(新潮文庫)
★★★★★

【収録作品】
「きよしこ」
「乗り換え案内」
「どんぐりのココロ」
「北風ぴゅう太」
「ゲルマ」
「交差点」
「東京」

吃音に悩む少年・白石きよしの、小学校から高校時代までを描いた
連作短編集。
解説はあさのあつこ。

言いたい言葉の先頭にうまく言えない音があるから
口をつぐんでしまう。
言える言葉に置き換えようと、代わりの言葉を必死に探す。
父の仕事の都合で転校を繰り返し、
苦手な音のある自分の名前のせいで自己紹介に緊張を強いられる……

そんな主人公が抱く苦い思いや切なさに、胸が痛む。
重松清の少年少女ものを読むと、
目をそらしたくなるような子ども時代のやるせなさを
バーンと目の前につきつけられる気がする。
「どんぐりのココロ」から「交差点」までの4篇が特に好き。
「ゲルマ」は特に、どうにもならない人間関係に
「ああ~」とうなだれたくなる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

83:はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ〈1〉』

2012-07-24 09:16:03 | 12 本の感想
はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ(1) (YA!ENTERTAINMENT)』(講談社)

これも仕事のため再読。
これは初読が6年前ということで、入り組んだ話でもないし
結構鮮明に内容を覚えていた。
「個人的にはおもしろいと思うんだけど、
 仕事で紹介するにはちょっと躊躇しちゃうよね」
という内容を含んだ本は多いのだけど、これは「おもしろいよ」と
安心して子どもにすすめられるからいいね。
児童書において「おもしろい」と「安心」が両立しているのは
大事なことだと思う。
「おもしろくて、安心じゃない本」はほっといても子どもが自分で
選ぶようになるだろうから、それ以前のベースを作る時期に
読ませたいこういう本があるのはありがたい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

82:宗田理 『ぼくらの七日間戦争』

2012-07-23 08:48:53 | 12 本の感想
宗田理『ぼくらの七日間戦争』(角川文庫)
★★★☆☆

仕事のため十数年ぶりに再読。
映画のほうも最近みたような気がしていたのだが、
記事を見たら7年も前であった。恐ろしい。
こんな話あったっけ? という場面の連続。
映画はエピソードをピックアップして作られていたのかな。

年を重ねて初めて理解できる本というのもあるけれど、
これは子どもの時にしか純粋に楽しむことができない本じゃないかな。
「悪い大人」がかなりデフォルメされて描かれているから、
子ども視点で読むと、やっつけなきゃいけない相手なんだけど、
大人視点で読むと、どうしたって
「お前の今の生活はどうやって成り立ってると思ってるんだよ」
と思っちゃうし、児童福祉法を持ち出して、親に向かって
「だからあんたたちはおれを捨てられないぜ」
みたいなことを言う場面では、最高に腹が立った。
甘ったれんなよ!!
非常にライトな世界だから、そんなこと触れられもしないんだけど、
汚職が原因で父親が自殺したなんていうとんでもなく重い過去を
背負った男の子が、迎えに来た両親を追い返すクラスメイトたちを見て
どう思っているのかも知りたいところだ。

マドンナ先生に対して「先生の処女を守る会」が結成されていることに
時代を感じる。
この先生、昔の少年漫画のヒロインみたいよね。
そして読みながら、英治について、
「この子、いつの間にか純子じゃなくてひとみを好きってことになってたよね」
と思い出していたのだが、最初は純子より先生が好きだったのか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NHK大河「平清盛」レビュー29

2012-07-22 21:20:11 | NHK大河「平清盛」レビュー
【第29話の重盛】

ラブコメ回でも決して笑わない、鋼鉄のシリアス顔。

**************************************

家貞&美福門院の死をあっさり風味でおりまぜつつも、
久々のラブコメ回であった。

前半であれだけメインキャラとして昼ドラを展開してたのに、
最近ではすっかり影が薄くなっちゃってた得子さま。
時々腹黒さを露呈していたけど、途中から「平清盛」は
「昼ドラ」じゃなく「大河ドラマ」になったので
いまいち輝けないままだったなあ……。
家貞はきっちり老いて死んだのに、
得子さまは若く美しいままだったね!

さて、今回のメイントピックスは
「後白河と滋子のデキちゃった婚」。
物おじせずにものを言う滋子に恋してしまったらしい後白河。
清盛の義妹だと知って「政の道具にされるだけだ」と
滋子を遠ざけようとするあたり、なんかマトモな人みたい!
結局、滋子は身ごもっちゃって、
後白河とつかず離れずの距離を保とうとしていた清盛は
「俺は知らん!!」
と結婚に反対するパパのごとくおかんむり。
さらに上西門院からも天パが理由で苦労するであろうと心配され、
時子&時忠&経子が三人がかりで縮毛矯正するも失敗。
「生まれた子も天パだもん! もう結婚やめる!」
とか滋子が言いだして、それを知った後白河が
食事ものどを通らないという恋煩いぶり。
結局清盛がうまいことフォローしてめでたしめでたし。

ここのところ、シリアスで重い話が続いていたので、
たまには息抜きでこんな回もいいよね!と思うのだが、
なんだろう、ピュアな少女マンガを読んでしまったときのような
居心地の悪さは……


【その他いろいろ】

・すっかり「存在感がない」キャラが定着してしまった経盛。
 盛国にまでナメられてるぞ!

・上西門院につかえる滋子のもとへやってきた時忠が、
 まんま「妹の勤め先に金をたかりに来るチンピラ兄」。

・第16回のレビューで「まさかの兎丸の恋話!?」と書いていたのだが、
 現実になってしまった。相手、あのときの女の子だよね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする