舞台版『うみねこのなく頃に』のDVDを見る。
原作の再現という観点からは、ほぼ満点。
世には、こうした再現の時点で失敗している作品も少なくない以上、高く評価すべきと言えよう。
「義音は紗音の弟」「譲治は20歳を超えた」「真里亞の薔薇は本当に失われている」などの情報が明言された事も重要。
「下女」「借腹」「端女」って台詞を聞けた事が最大の収穫だろうか。
よって、ここから先は、高望みの過ぎる私の個人的意見である。
やはりこの作品は、映像作品に向いていない。
まず登場人物が多すぎる。
屋敷のどの座席でも、ぎゅうぎゅうの寿司詰め。
場面転換も非常に激しく、あれよあれよと話はどんどん進んでいく。
私は、PC版→漫画版→Switch版と、3回にわたって自分のペースでじっくり読んできたから、独特の世界観に付いて行けてるが、もしこの舞台版を新規で見たとしたら、「何かよく分からん」で終わった可能性が否めない。
まして、実はこの話は、戦人の一人称視点以外は信用できず、他は全てベアトの創った“嘘”である……なんて構造、文章以外で表現できるネタじゃない。
アニメ版(←私は未見)の評判がよろしくない理由が少し分かった気もする。
無論、観客に分かりやすく伝えようという意図は充分に見られる。
キャラ紹介を役者たちのナレーションで、時刻や場所を字幕の投影で、状況説明を戦人の語りでと。
ストーリーにも極力圧縮している。(それでも上演時間は3時間に及ぶ)。
おかげで、察しのいい人なら原作EP1と同程度に推測できるようになっている。
舞台版としての完結編を見るまで評価保留というのが私の結論だ。
続きがなかったら、戦人のあの胸揉みとか、完全にノイズになっちゃいますから。
もっとも、この先をどうやって進めるのか、私には全く思いつかない。
ベアトの声が役者でなく声優だったりするのもそうだが……そもそも幻想キャラ達を再現できるんだろうか?
それでは。また次回。