『白い記憶』
新潮文庫、番号47、『ボッコちゃん』収録。
他作家のアイディア殺しとして定評のある星氏。
SFやホラーなどは基本として、今回の話では、まさかのラブコメが披露される。
この話はある程度ネタバレしないと語れないから、途中まであらすじを明かす。
舞台は病院。
共に記憶喪失状態で運び込まれた男女は、会ってすぐに意気投合し、一気にラブラブ。
それもそのはず、実は二人、とうに結婚していた、という流れ。
この後は当然、二人とも記憶を取り戻す展開に入り……そこから先のオチは伏せよう。
さあ皆さん、想像してみてください。
あなた好みのカップルやコンビ、恋人や親友たちが、どっちも記憶喪失して初対面に戻ったら何が起こるだろうと。
このアイディアだけで、人によっては無限にエピソード創れるだろう。
一次創作でも二次創作でも何でも良しだ。
そんなオイシイ状況を、こんなにもアッサリと料理してしまうのが、星新一ショートショートの素晴らしくも恐ろしい点である。
それでは。また次回。