好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

『尚も生きる。手を取りて』最終話「馬鹿な男の告白」

2020-02-05 | ゲームブック二次創作
今までの出来事をいっぺんに思い返すのを、走馬燈っていうんだったか。
俺は剣を持ったまま、前方へ倒れ込んだ。

召喚されかかった魔王は、俺の降した雷により、異界へ戻っていった。
室内の瘴気が、満ちあふれていた魔力と共に、急速に薄れていく。
戦いの時間は終わる。
即ち、俺たち二人に起こった奇跡の時間も終わる。

俺は最後の一滴まで、自分の精魂を吐き出していた。今度こそ動けない。
床に当たる小石か何かが、ざらざらとして痛かった。
妙だな。そんな物、分厚い毛並みで、気になるはずがないのに。

俺は自分を見た。どうも、元の体に戻っているようだ。
ザラダンが滅びれば、解ける術だったという事なのか。
まあ、別にどうでもいい事だが。
それより、一応服着といて良かったな。先見の明ってやつか。
おかげで、これなら俺も人間扱いしてもらえる。めでたしめでたし。

我ながら、馬鹿馬鹿しい事ばかり頭に浮かぶ。
そうでもしないと起きていられない。本当に眠い。
なのに、誰かが俺を揺すって、声をかけている。
何だ、キャリイか。もう少しだけでいいから、静かにしてくれよ。

そうだ。お前は俺にずっと付いて来てくれたのに。お礼を言ってない。
言わなくちゃいけない。もう言えないかもしれないから。
なあ、何でそんな顔してるんだよ。
俺みたいな馬鹿な男のために、お前みたいな美人が泣くなよ。
俺はお前を泣かしたくなんかない。本当は、俺が、お前に



















(※筆者注 まだ続きます)

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