ガレーキープが真上に来る直前。ロープの輪に足先を入れ、罠を作動させた。
木は勢いをつけて跳ね上がり、予想通りに木の最上部から逆向きに吊られる。
もしこれで、ガレーキープが気づかないってオチだったら笑うしかない。
幸いにも、近づいてきた方舟から、鉤の付いた棒が突き出され、
ロープごと俺は回収された。
不快な臭いを放つ魔物たちが、引き上げた俺を甲板へ投げ出した。
俺は衰弱して動けないように演じ、機会を待った。
さっきの魔物たち2匹が、俺の体をつかんで引きずっていった。
甲板に据え付けられたギロチン装置へセットしようとする。
たいそう磨かれている刃は、落としきれない血の色を帯びている。
俺には最善、奴らには最悪のタイミングで、跳ね起きてやった。
満身の力で2匹を横へ突き飛ばせば、奴らは甲板の手すりを超えて落ちていく。
その近くにいた、もう2匹。今度は種族が分かる。ゴブリンだ。
小剣を構えているが……無理しなさんな。
次第に騒ぎは大きくなる。船内の兵士たちが集まってきている。
そうなるように派手に暴れたんだから当然だ。
入り乱れた人込みの間を縫って、近場の扉へ駆け込んだ。
下りの階段を油断せずに進んでいく。
突き当たりで、扉が5つ並んでいた。
描かれている文様はそれぞれ、「水の垂れる水差し」「燃え上がる炎」
「王冠」「雪の結晶」「交差した青い剣」。
俺は詩編の情報に従って暗号を解き、速やかに正解の扉を開いた。
(※解答は伏せます)