『夢の木坂分岐点』(by筒井康隆)、読了。
1987年初出。
「何でもあり」の筒井作品の頂点かもしれない。
メタフィクションの極み、という言葉では生易しい奇妙な話。
本作の主人公は、とにかく設定がぴょこぴょこ変わっていく。
職業どころか名前や家族構成さえも。
まるで、全ては泡沫、夢、妄想、即ち虚構の世界のように。
あるいはカウンセリングにおける心理劇(サイコドラマ)の中のように。
何せ、台詞のかぎかっこが終わらないまま、異なる設定の話へ進んで動いてしまう。
『脱走と追跡のサンバ』(1971)、
『虚人たち』(1981)、
『虚航船団』(1984)などを経た当時の作者が至った、(生身の人間でないメタ的な)主人公の成長物語、とでも言えばいいだろうか。
だがしかし、この先でも作者は、
『朝のガスパール』(1992)、
『邪眼鳥』(1997)、
『残像に口紅を』(1989)、
と、ますます複雑怪奇な、けれど興味深い話を弾き出すのだから、底が知れない。
ところでこの本、小説初心者はモチロン、筒井作品初心者が読んだら混乱するんじゃないかな。
せめて前述した本を読了してないと、私は無理だったかも。
それでは。また次回。
1987年初出。
「何でもあり」の筒井作品の頂点かもしれない。
メタフィクションの極み、という言葉では生易しい奇妙な話。
本作の主人公は、とにかく設定がぴょこぴょこ変わっていく。
職業どころか名前や家族構成さえも。
まるで、全ては泡沫、夢、妄想、即ち虚構の世界のように。
あるいはカウンセリングにおける心理劇(サイコドラマ)の中のように。
何せ、台詞のかぎかっこが終わらないまま、異なる設定の話へ進んで動いてしまう。
『脱走と追跡のサンバ』(1971)、
『虚人たち』(1981)、
『虚航船団』(1984)などを経た当時の作者が至った、(生身の人間でないメタ的な)主人公の成長物語、とでも言えばいいだろうか。
だがしかし、この先でも作者は、
『朝のガスパール』(1992)、
『邪眼鳥』(1997)、
『残像に口紅を』(1989)、
と、ますます複雑怪奇な、けれど興味深い話を弾き出すのだから、底が知れない。
ところでこの本、小説初心者はモチロン、筒井作品初心者が読んだら混乱するんじゃないかな。
せめて前述した本を読了してないと、私は無理だったかも。
それでは。また次回。