それでついに彼女の射程距離に入ったその瞬間、呼び止められた・・・「はいっ、ごくろーさん。頑張ってね・・」 私は「あっ、いやっ、ありがとうござ・・・」と言いかけたが、そんな言葉など聞きたくもないかのように「・・・あたしだって、1級の身障者なんだよっ、それなのにさっ、こんなに頑張ってさっ・・・・・」とまた延々と艦砲射撃が始まったのである。もちろん無視して通り過ぎればいいのである。しかしこの1級身障者と自称する高齢婦人よりも、遥かに気の弱い私は「蛇に睨まれた蛙」のようになってしまうのである。いかんここで走行速度を緩めたら敵艦に捕獲されてしまうのだ。