機嫌の良い時は、自分が旅行した時の写真などをみせてくれたし、すでに亡くなられたご主人の写真をみせてくれたりもした。話しぶりでは独居の寡婦だと思っていた。まあ診療には従ってくれなかったが、ご高齢なので急な方向転換は拒否反応がでるであろうし、徐々にこちらのペースにもって行ければいいと考えていた。ところがある日、突然、同居している兄という人が来院してきた。いままで同居の家族、兄弟の話は一切出てこなかったので突然の出現に驚いた。しかも複数名いるご家族の構成や事情は複雑だった。兄は妹のことで相談があると話しを始めた。