吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

予防接種 その3

2012年09月06日 06時55分56秒 | インポート

 さてその講演会での話である。残念ながらワクチン接種に平行して、頻度こそ高くはないが、かならず一定の確率で接種事故、副反応の重篤化がある。これは綿密な問診をしてアレルギーの有無を尋ねたり、また綿密な診察(まあこの診察もあまり意味はないが・・・)をしたりしても100%防ぐことができるわけではない。ワクチンは生物学的な製剤であり、特に生ワクチンは弱毒化させたとはいえ病原体そのものを体内に注入するわけである。ワクチンにて生命にかかわるような事故は、飛行機事故で亡くなる確率よりもずっと低いものの、おこりうる事象なのである。それでも医療裁判を起こされるとほとんど医療側は負けているのだそうである。この話を聴くと「どんなに注意義務を果たしても、事故は一定の確率でおこりうる。そしてもしおこっても自分を擁護できる可能性はほとんどない」ということになる。それでも医師会の先生方は躊躇なくワクチン接種事業に手を上げて参加しているのであるから、掛け値なしにすごいと感じている。ワクチン事故に関して被害者への補償は国が行っている。しかしワクチンを打った医療側に対しては何の配慮もなく、ただ司法判断のいいなりになっているだけの姿勢にはいかがかと感じるのであるが・・・。