今度は指先の霜焼けを呈する、痩せて体力のない高齢男性に同様にこの漢方薬をだした。確かに冬場は指先が氷のようにいつも冷たい。指先が浮腫み赤黒く変色している。指先のクリームと、この漢方薬を出した。「先生、これ効いたよ」という言葉を期待していて2週後である。特に患者さんのほうから何も言わないので、こちらから切り出した。「あの~指先の霜焼けと冷えはどうでしょうか?」 患者さんは少し申し分けなさそうに「えっ? 薬? 漢方薬? あーあれは服用して数日したら胃の辺りがムカムカしてきたので飲んでいませんよ。顔もほてるようだし・・・、とにかく効きませんでしたね」 どうも数日のみで途中drop outされてしまったようである。確かに生姜が入っているので身体を温める作用がある。顔がほてったり、胃の辺りに生姜を食べた後のような温和感などが起こったりしてもおかしくはない。もう少し服用を続けられるとほてり等もおさまるとおもうのであるが・・・。この患者さんにとってはこの漢方薬は「こんなもの効かない」というイメージになってしまった。もっとも自分が証の見立てを上手くできなかったのが原因かもしれないが。