吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

抗菌薬不適切使用 その1

2017年12月07日 05時42分45秒 | 日記
 昨日、医師会の講演会で抗菌薬の不適切な使用による菌耐性の問題、日和見感染についての講演があった。すでにペニシリンが発見された70年前に発見者のフレミングが「将来気軽に投与されて不適切使用による耐性菌の出現を危惧する」と予想していたのである。
 中国での調査では「抗菌薬が風邪や頭痛に効く」と思っている人が60%くらいいるそうだが、日本のアンケートでも風邪やインフルエンザに抗菌薬が効くと思っている人が4割くらいいるようである。
 ・・・なんだ日本の市民の医学レベルも中国とさほど変わりがないのかと思った。

 しかも開業医へのアンケートでは感冒様症状の約半数に抗菌薬が投与されているらしい。効果がないばかりか耐性菌の誘導の原因にもなる。
 また日和見感染による患者死亡で裁判になり医療側が敗訴している事実もかこにあった。
 医師がそのことを知らない訳はない。

 風邪に抗菌薬を投与する医師は、おそらく風邪だと思われる中に紛れている溶連菌感染を考慮して抗菌薬を出しているのかもしれない。確かにこれはペニシリンを投与する必要がある。