吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

逗子ストーカー殺人事件における逗子市の敗訴 その3

2018年01月19日 06時23分31秒 | 日記
 「認定結果など情報を他に提供してもよいか?」という文言だと具体的によくわからない。何のことかよくわからないと人間は警戒してサインしない。ここにサインしなくとも介護認定の申請は可能なので申請手続き上は困らない。
 しかしサインがないとかかりつけ医療機関に区役所から情報提供されないのである。つまり区役所側の思惑は「個人情報提供はトラブルの元になるのでなるべく出したくない」のである。だせばいろいろ今回のような面倒な事件にまで発展する可能性があるからである。医療機関にとって必要な情報でも、行政側はなるべく情報を出さないで済むようにすれば面倒な事件は回避できると考えているのである。

 今回の加害者への情報提供が殺害の遠因であるとの判決は極めて重い。ぜったいに今後は市役所側は個人情報に蓋をして「情報が本当に必要な場合」でもなるべく提供しないようなシステムを作るようになるはずである。
 本来であれば「情報を外に出さない」システム作りではなく、「情報を本当に必要としている所を見極める」システム作りが必要なのだが豊島区役所の例をみても行政にそこまで期待するのは無理だろう。
 残念であるが今後は逗子市において個人情報を本当に必要とする各施設において不便になることは間違いない。この判決がもたらすであろう未来は重い。
 「羹に懲りて膾を吹く」ことは起こる。