吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

服役中の伝説的ミュージシャン死亡、妻が国賠提訴「死なずにすんだのに、許せない」 その5

2019年11月13日 06時48分42秒 | 日記
 また妻の言う「簡単な手術でおわる」というのは誰が決めたのか? 腸閉塞の原因や、手術施行のタイミングによっても手術の難易度や術式は異なるのである。自分も腸閉塞の手術は数多くおこなってきたが、腸閉塞の原因によって高度な判断と難易度の高い手術手技が必要とされることも多い。このような判断は現場にいる医師以外では判断できないはずである。
 また「放置した」というが、まったく放置したわけではない。とりあえずは町立病院をきちんと受診させているのである。もちろんそこでは緊急度や重症度判断ができなかったし確定診断もできなかったわけではあるが、これは前述のとおり医療機器の問題もありやむを得ない部分も多々ある。通り一遍ではあるが刑務所レベルでの対応はとりあえずしていたものと思われる。
 一般市民と服役者で、まったく同じ水準の医療が受けられるわけではない。収監されれば生活上の不便を強いられるわけである。緊急性の高い疾患であれば市中、収監中問わずに救命されたかどうか疑問である。