吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

破傷風 その3

2007年12月11日 06時50分15秒 | インポート

 それで、結局、破傷風おこしたら、どう治療するのかというと治るまで待つしかないですね。ケイレン発作が起きないよう鎮静剤(睡眠薬)で筋肉を弛緩させます。とうぜん呼吸筋も麻痺しますので人工呼吸器につなぎます。そして頃合をみて鎮静剤をきってはケイレンがでたらまた鎮静剤、そして切ってはケイレンでたらまた鎮静剤投与の繰り返しです。結局、鎮静剤切ってもケイレンが起きなくなるまでは1ヶ月くらいかかります。 

 最後にこの患者さんは覚醒して破傷風から離脱した自分を認識し、感激のあまり泣いてました。


破傷風 その2

2007年12月10日 07時39分33秒 | インポート

 破傷風の原因は破傷風菌です。こいつは酸素のないところで育ちやすい菌ですので、傷口の奥深くにはいって外界の空気とふれないと繁殖しやすいです。たとえば よくいわれているのが古いさびた釘を踏んだとか、あるいは汚い動物に咬まれたとか、また昔はよく練兵場の土の中にいるとかいわれていました。

 昔、自分の患者さんですが、抜けた歯のところに、その辺にある木片を挿し歯に代用していた人が破傷風になりました。しかし身体にケガはないので、診断がつきませんでした。しかしケイレン発作はどうも破傷風らしいし、目の前でいきなり「ウ~~~~ッ!!」とけいれんされるとさすがにこちらもビビりますね。ケイレン発作の最中も意識があるのでかなり恐怖感があるようです。でも、こっちだって恐怖感一杯ですけど。


破傷風 その1

2007年12月08日 06時33分36秒 | インポート

 過去、何人も見ました。昔は汚い泥のついた傷が原因でしたが、いまでは外飼いのペットの咬み傷もなども原因となります。

 この病気は光や音など強い刺激があると猛烈な全身けいれんを起こします。しかもけいれんの最中も意識は犯されないのが特徴です。呼吸筋もけいれん起こせば呼吸停止がきますし、またこの病気は血圧の変動が激しいく、25mmHgくらいになったかとおもうと、数分後には6mmHgあたりまで急降下することもよくあります。自律神経の波長がとても乱れやすくなっています。基本的にはペニシリンを用いますが、一度発症するとそう効き目はありません。大昔はけいれんを起こさないように暗い静かな部屋にずっと寝かせておくだけが治療でした。その間、死なないものだけが結果的に治癒したということになります。今では鎮静剤でずっと寝かせて人工呼吸器で呼吸を管理します。時に1ヶ月以上もかかりますね。


ツツガムシ病

2007年12月07日 06時52分19秒 | インポート

 昔から「恙無く(つつがなく)」という言葉が「平穏無事に」という意味でいわれていたことから、ツツガムシ病とはきっと死に至る病なのかなと医学生時代は思っていた。 

 南房総の病院に勤務していたときに時々これらしきものに遭遇した覚えはある。草むらや野原で仕事に従事したあと熱が出てきて来院した患者さんがいた。通常の抗菌薬には反応しないので困っていたら、上の先生が「この辺りじゃあ、もしかしたら20日病みかもしれないので、じゃあミノマイシンを投与してみたら」と・・・。それでその抗菌薬を投与するとすぐ解熱した。どうも3週間熱が続くので20日病みというらしい。この病原体はリケッチア・ツツガムシと立派な冠がついている。こんなの東京じゃおめにかかれない。


マムシ咬傷

2007年12月06日 07時02分28秒 | インポート

 自分の臨床医学のベースは大学病院で学んだことよりも、田舎の病院に出張していたときに得たものが多い。その中には都会の救命センターではあまりお目にかかれない疾病もある。例えばツツガムシだとか、破傷風だとか、マムシ咬傷などがそうである。マムシに咬まれると牙痕が2つ残る、そして咬まれた直後より猛烈な痛みと腫れが出現する。マムシ血清を使用しなくても概ね死ぬことはないが、老人子供では時にアブない。もし咬まれた肢がパンパンに腫れると血流が悪くなりへたをすると血流不全から壊死を起こしかねない。時に皮膚と筋膜を大きく切開して浮腫んでいる筋肉内圧を外に逃がしてやる必要がある。

 昔、東京から遊びに来ていた子供がマムシに咬まれて入院した。子供なのでなるべく筋膜切開しないで毎日様子をみていたが、いよいよ足の循環が悪くなったので筋膜切開を行った。足は壊死を起こさないで済んだが、もちろん大きな傷は残った。親からは「もっと早く切開していれば、こんなに長引かずに傷も小さく済んだのに。誤診だ」とさんざん文句を言われて本当に泣きたい思いだった。結果だけで判断されるのは辛い。


縫合

2007年12月05日 07時30分22秒 | インポート

 先日、開業してからはじめて縫合治療を要する患者さんが見えられました。包丁で切ったとのことで、さほど大きな傷ではありませんでしたが、少し深めだったため縫合することにしました。

 指先からタマネギの匂いがしたので、「ああ、この傷の具合はタマネギを切っていたんでしょう」と言ったら。「すごい!」 「傷口をみてわかるなんて!」と返されて、その場が盛り上がってしまいました。そのためつい「いや・・実は匂いがしたので・・・」とは言い出せず、そのままになってしまいました。ごめんなさい。本当は傷口で調理材料なんてわかりません。嘘つきました。自分が傷口をみて分かるのはマムシの牙痕くらいです。


顎がはずれた

2007年12月04日 07時13分59秒 | インポート

 大昔、若かりし頃、某病院の当直での経験。

寝たきりのお婆さんの顎がはずれたと息子さんが連れてきた。確かに両下顎ともはずれているようで「モゴモゴ、アフアフ」言っている。そのときまで自分は何回か整復した経験はあり、頭の中で整復方法をシミュレーションしながら、「下顎の両奥歯に自分の親指をあてがいそのまま下顎を鷲づかみにしたままドジョウすくいの要領で下顎を下に引き下げながら押し込むべし・・・・」・・・「押し込むべし・・・」 、あれ? 「押し込むべしっ!」・・・・、ええ?汗だくで何回やっても入らない。困り果てて上の先生に電話したら「若年者と違って年寄りの習慣性脱臼の患者はなかなか入んねぇぞぉお、入っても喋らせるとまたすぐはずれるし・・、ま せいぜい頑張んなさいね」と・・・。

で、患者のもとへ戻ると後からお嫁さんが到着していて「あっ、先生、これはもう入ってますね。今、私がいれましたから。さ じゃあ帰りますか」と・・・。ええええ? 結局なんだったんだろうか? でも患者さんはいざしらず、家族の方が満足したのだから、ま いいか。それにしても医療って不思議だ。

 先日、下顎を脱臼された患者さんが当院に見えられましたが、若い方でよかった。恥かかかずにすんだもの。


救急救命東京研修所

2007年12月03日 07時30分37秒 | インポート

 この施設は救急救命士を養成するための全国的な消防関係の全寮制研修所です。受講生は全国の自治体消防から救急救命士の資格をとるために半年強のカリキュラムを受講しにやってきます。ここに最初に勤務したのが平成4年の4月でそれから3年間は常勤で、以降は今年の7月までは週1回勤務の非常勤講師を続けてきました。たぶんこの業界で勤続して教鞭をとってきたのは自分が日本で一番長いものと思われます。

 おかげさまでいろいろな消防の仕組み、行政の仕組みを学ばせてもらいました。目の前の傷病者ひとりを救護するのも根拠法令がないと彼らは動けません(動きません)。医療における緊急事務管理がなかなかうまく相容れない部分があります。救急救命士法ができて16年になりますがようやく少しこなれてきたようです。・・・でも、まだ靴下の上から水虫を掻いているような感じ・・・、あ 失言です、パンツの上から股間白癬を掻いているような・・・、あ もっと失言。


四国・坂出市のこと

2007年12月02日 09時50分05秒 | インポート

 香川の坂出よりミカンがひと箱届きました。送り主は、自分が救急救命東京研修所で教鞭をとっていたときの、いわゆる教え子です(教え子というほど自分と歳は離れていませんが)。彼は今では坂出消防の優秀な救急救命士です。実は彼の誘いで、自分は年1回行われる「病院前外傷初療」(BTLSコース)の講習指導参加のため坂出にいっていました。とにかくここらあたりの「ウドン」の旨いことも毎年参加の理由でしょう。また会場の五色台の宿舎からの眺望がまたきれいで瀬戸内海が一望できます。

 坂出、五色台といったら、最近、祖母・孫関連のなにやらあまりよろしくない事件でTVをにぎわせていますが、でもとてもいいところです。このよろしくない事件で一挙に坂出市の知名度が全国区になりましたが、でも痛し痒しでしょうか・・・。ミカンごちそうさまでした。今年は開業準備でいけなかったけど、また来年は行きたいナーー。


自営業

2007年12月01日 07時38分47秒 | インポート

 今日から師走。開業してから平日はほとんど外に出られない日々が続いていましたが、一昨日、平日の夜間でしたが外出しました。すでに開業している元同僚らとの会食でした。皆さんとても繁盛?しているようです。こちらは開業して2ヶ月ですが、まだまだ寂しい限りです。このままだと損益分岐点に行かないうちに息切れしてしまうかも?

「まあ、そのうち徐々に増えてきますよ」とは皆に言われたものの、現在この業界はかなり厳しく逆風状態なものですので、どうなりますやら・・・。

 ところで開業前に患者さんから「招き猫」を頂きました。まさかこの千客万来をクリニックに置くわけにはいかないでしょうが、でもこうなったら棚の奥に見えないように置いておきましょうか(爆)。