いま生きているカマキリは大体♀です。
カマキリはね、交尾の後、相手をした♂を食ってしまうんです。
ほら昔、カマキリ夫人の映画があったでしょ。
あれは、こういう事実を人間社会に置き換えたものではないかなぁ、と。
え? じじぃは観ていませんよ。ほんとだってば。
それで思い出しました。千人斬りです。
小沢信男著「ぼくの東京全集(ちくま文庫)」から、その優れた考察を転記します。
じじぃも知らなかったことです。
そもそも千人斬は男の場合で、女の場合は仙人信心と申す由。
男はしょせん数のみ誇るギネスブックのレベルなのに、
女が成就したときは、生ける観世音、神仙の境にとどくのだとか。いかにも。
女子はただでも神通力があるものね。 (悲願千人斬の女から)
小沢さんによると、この千人信心は実在の人物でした。
明治初頭の有名な歌人で、名前は松の門三艸子(まつのとみさこ)。
本名は小川みさ(天保3年3月3日生まれなので)。
小川家は大名や旗本への金貸しを業とした。
みさは恵まれた境遇で利発な美少女に育ち、数え年13歳で幕府御船蔵用達家に嫁ぐ。
しかし夫が外に子を生したため憤慨。15歳で実家に戻ってしまった。
その後因州池田家へ奥女中としてあがり、18歳で観世流能役者の子を出産。
子は能役者家に引き取られ、退職。井上文雄の歌塾に入門。住み込みの内弟子になる。
しかし実家は幕府の崩壊と共に倒産。みさは辰巳芸者に転進し、小さんと称した。
小さんは才色兼備、文武両道、人気沸騰。山内容堂ほか明治維新のレジェンドたちに寵愛され........。
以下、長くなります。詳しくは本を買い、お読みくださいね。
この分厚い文庫本は、内容豊富、緩急自在、軽妙洒脱。実に愉快です。▶読書メーター
特に戦争直後の東京の焼け跡闇市を覚えているご同輩に、お勧めします。
あ、それから。
カマキリが相手を食らう一部始終は、過去記事「惨劇を見た」をご覧下さい。
櫛は澤乃井「櫛かんざし美術館」の館蔵品です。
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