いいクルマが好きだ。男ですから。
と色男のホンダ氏が言っている。おニュウのオデッセイがいいと言っている。
今、車を修理に出している、今では色褪せた森生もそう思う。
二つ星れすとらんの帰り。最近知り合ったご同輩がクルマで送ってくれることになり、駐車場で驚いた。
な、なんと、スポーツカーなのである! 地面にピッタリ張り付いて、軽ながら逞しい!
まだ色付いていた頃、スポ-ツカーには憧れていた。湘南海岸をぶっ飛ばしたかった。持ち主も同じだったそうだ。
それが今、ようやく乗れるとは......。
乗る段になって困った。まるで茶室のにじり口である。
屋根が上がるそうなので、開けて貰って、跨いで入ればよかったが、生憎の雨。
中から手を貸してくれて、ようやく座席に納まった。
降りる時にも往生した。カラダが固まっちゃって、にじり口が通れない。
後ろから尻を押してもらってようやく脱出できた。スポーツカーは座棺だね。
町をヨボヨボ歩いていたら、声を掛けられた。
森生サン、乗ってきません? 送りますよ。
ご近所の美しいママと花盛りになった姫たちが、オフロードカーから呼んでいる。
先が見えてきた頃、会社を卒業したらこの車で、極北でオーロラを追いかけよう、と思ってた。
それが、ボーイハントされちゃったのだ。えへへ。
乗る段になってちょっと困った。脚が短くなってたのだ。
脚を思いっきり上げて、イイトコ見せようとしたら、イテテテテ、足が攣ってしまった。
みんなにすっかり労わられてしまった。
修理した軽には枯葉マークが必要な歳になった。
もういいクルマを諦める男になった、のは歴然の現実である。
なにもかもお終いの秋である。
・ 見渡せば色もおカネも無かりけり 裏の苫屋の秋の夕暮 ・
........ 猫額亭森生
081023
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