朝日新聞朝刊の連載小説「麗しき花実」を毎日読んでいる。
主人公の女蒔絵師・理野が凛として美しい。
始めは挿絵の瑞々しさに惚れ、小説欄を切り抜いていたが、近頃は理野の麗しさと、自分の蒔絵を高めようとする一途さにも惹かれている。
90回からは酒井抱一の代作を根岸の庵に届けに行き、留守を預かる夫人の妙華尼(吉原の元遊女!)から「夏秋草図屏風」の下絵を見せられる。
代作を自分に丸投げした抱一に対して抱いていた不信感が一気に吹き飛ばされる感動に、茫然と立ち尽くしてしまう理野。
理野の目を通して語られる下絵の描写が素晴らしい。
胡蝶、妙華尼など女性が魅力的だ。
理野には淫奔と看做された過去があるらしい。
画家の鈴木基一や工房の二人の先輩職人と心を通わせているが、今のところは清らかな関係である。
小説に書かれた江戸時代の根岸は風雅な里だった。
原羊遊斎の工房で働いてみたい。
酒井抱一のサロンは面白そうだ。
挿絵は第92回掲載分から転写させて貰いました。画家は中一弥。御歳92歳とは!
時々色彩版になるが、色は落款の朱色と、墨絵がやや青味を帯びるだけ。
作者の乙川優三郎は始めて読みましたが、相当な手練ですね。
二人とも好きで 特に夏秋草図屏風は大好きな絵のひとつです。
今からよんでも 間にあわないですねー。
小説は単行本になるはずですが お急ぎなら 図書館で新聞をご覧になったら如何でしょうか
手間暇かけても ソンをしない 端正で面白い小説です
風子さんの点描画も なかなかの出来映えですね
58回入選作が 特に好きです