山形の実家のお寺で長く役員をなされていた方がお亡くなりになったことから、急遽山形に帰ってきました。
御歳は何と百歳。
御高齢になっても、背筋をまっすぐにのばし、折り目のピンと入ったズボンをはいて散歩をする姿はまさに地方都市のジェントルマン。
旧盆の夜には浴衣を着てお寺にお参りになり、からかい(干したエイ)の煮つけを美味しそうに頬張っておられました。そのにこやかな様子は、忘れられません。
怖くもあり、尊敬もできる方でありました。こういう方がだんだん少なくなってきました。
心からご冥福をお祈りいたします。合掌。
さて、お葬儀を終えた翌日、御昼ごはんを食べて帰途につくことにしました。
久しぶりで東根市野田にある「伊勢そば」さんに行ってきました。
子供の頃、師匠に連れられてよく通ったお店です。
乗用車で実家から15分くらいのところにあります。
近年、店舗を新築し駐車場も造って、お客さんがますます増えているとのこと。
自宅を改造し2階の部屋まで店舗にしていたころもなかなか味わい深いものがありましたが、新しいお店もなかなかよろしいとの評判。
新幹線の乗車時間にあまり余裕がないのもかえりみず、妹と二人で出かけてきました。
お昼時とあって、駐車場は満車状態。ようやく車を駐車場のはじっこに停めてお店に入ります。
中も超満員。う~む、新幹線に間に合うかな・・一瞬不安がよぎります。
もり天の大盛りと、もり天普通盛りをたのんで奥の空いた席に座ります。番号札は54番。
隣の家族連れを見ると、番号札は26番・・・・・・・???
あれれ、まだ注文したお蕎麦が来てないのかな、と思っていると、それを察したのか中年のおばさんが「もう40分以上待っている」と、少しくたびれた顔で教えてくれました。
ええっ!ヤバいじゃん!あと30分以内にお蕎麦が来ないと、とても食べられません、新幹線にも間に合いません。
なんたって ↓ これだもの。
この伊勢そばさんの売りは、何と言っても超極太、ウルトラ田舎そばなのです。
お箸よりも、太い。
フツー盛り一杯食べれば、しゃべりたくなくなるほど顎がつかれます。
以前、友達と競争で「大板そば(板そばの大盛り・・・大盛り4杯分くらいの量があります)」を食べたことがありましたが、
翌日から顎の筋肉が痛くて3日ほどつらい思いをしたことがあります。
江戸のそばとは大違い。
更にこのかき揚げ。
草加せんべいのように固い、かき揚げなのです。
そのまま口に入れてバリバリ噛むなんて、とてもできません。
玉ねぎが刺さって口から血が出ます。
お皿の上でかき揚げの上に端を突きたて、少しずつ崩して小さくし、そば汁の中にどっぷり浸して柔らかくなってから食べるのが、伊勢そば流かき揚げの正式な食べ方(?)。
テーブルや座布団にかき揚げのかけらが飛び散っているのは、お客さんがかき揚げと格闘していることの証です。
そんな蕎麦とかき掲げですから、蕎麦をつるつるっとかっこんでさっと出て行く、なんていうわけにはいかないのです。
「お兄ちゃん、間に合う?」
ありがとう、心優しき妹よ。君だけだ、そんな風に心配してくれるのは・・。
しかし、このままじゃ新幹線には間に合いそうもないし、でもこの店も久しぶりだし・・・心は千々に乱れます。
隣のおばさんたちは一時間ほど待って、ようやくお蕎麦が出てきました。
御高齢のお爺さんは、そばをどっぷりと汁に漬けこみ、一気に口の中に放り込んでもぐもぐと噛みしめ食べはじめました。
若い奥さんも器用に箸を使ってかき揚げを割り、上品に口に運んでいます。
さすが地元の方、慣れています。うーむ・・・・東根市民、恐るべし。
過去の私であればこの極太田舎そばも、ダイヤモンド並みの硬度をもつかき揚げも、どうということもなく楽々と平らげ得たはずなのに、どうしたことか、初めて1メートル15センチの走り高跳びに挑戦する小学6年生のような気分になってしまいました。
待つこと30分。
「54番のォ、番号札をォ、お持ちの方ァ~~」ギリギリの緊張感を破る、何ともユルイ店員さんの声。
ようやくお蕎麦が到着しました。
あと10分以内に食べきらないと、新幹線に間に合いません。
ここからさくらんぼ東根駅まで、飛ばして10分。混んだら15分。ぎりぎりです。
間に合うでしょうか・・・・蕎麦は食べきれるでしょうか・・・
美味しいのになあ・・・・・なんでもっと早く出てこないんだろう・・・行った時間帯が悪かったなあ・・・・
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アジサイが花盛りになりました。
タチアオイや柘榴の花も咲き始めました。
お蕎麦もかき揚げも固いなんて・・・顎の筋トレ用メニューですね(笑
でも、頂いてみたいです!
次回は、「時間」と「お歳」を考えて召し上がってくださいませ…^m^
あんまり無茶なことは、もうできませんね (^^ゞ