「お前が悪いとさす指の、下三本は自分を向いている」
あるお寺の掲示板に掲げられた言葉です。
人が失敗したり迷惑をかけたりすると、私たちはその人を指さして
「お前がこんな事をするから」「だからあれほど言ったじゃないか」などと非難してしまいます。
そのひと差し指は確かに相手に向いています。
しかし頭に血がのぼった状態では気づかないのですが、手指の下三本は自分の方を向いています。
この三本の指、とはなんでしょうか?
仏教には「三毒」という教えがあります。
「貪り」「怒り」「愚かさ」の三種類の毒が身を滅ぼす、との教えです。
「貪り」とはもっと欲しいと貪る心、際限の無い欲求。そして人に分け与えることのない我欲のことです。
「怒り」とは見境の無い暴言や暴力。思うようにならないと怒ること。その最たるものが戦争です。
「愚かさ」とは知ろうとしないこと、見て見ぬふりをすること。また、自ら決断することができず人の言いなりに過ごしてしまうこと。
他人を指さして非難するのではなく、自分が無意識のうちにこの三本の指、三毒に冒されていないか自問しなければいけない、というのが首題の意味するところです。
誰しも罪過ちを犯してしまうことはあります。しかし、最初から間違った事をしようと行動する人はいません。
私たち人間含め、この世界に在るすべてのものは互いに足りない部分や間違いを補い合い、助け合いながら暮らしています。
非難し指弾するのではなく、人の過ちを自らのことと受け止め、
支え合い、三毒に冒されないよう仏弟子としての生き方を実践してまいりましょう。
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昨晩の雨のおかげで、桜が一気に咲きはじめました。
木によっては6分から7分咲き、という感じです。
朝のお参りの後、カメラを持ち出して写してきました。
昨晩はけっこう強い風も吹き荒れましたが、花を落とすまでには至らなかったようです。
花の一輪一輪、樹々の一本一本が何とも愛おしく感じられます。
庫裡の庭には木瓜が咲き始めました。
天候にもよるでしょうが、これから半月くらいは桜を中心に春の艶やかさを楽しむことが出来そうです。
今日はここまで。