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眠っている間に、脳は老廃物を排出する。アルツハイマー病と睡眠不足の関係は…

2021-12-28 08:30:00 | 日記

ヨミドクター様のホームページより下記の記事をお借りして紹介します。(コピー)です。

 

こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に、科学的見地からビシバシお答えします。日々の生活で、私たちの体内にはさまざまな老廃物や有害物質が生じます。たまった老廃物や有害物を体外に排出させるのに一役買っているのがリンパ系です。比較的最近になって、脳にもリンパ系があることが発見されました。脳内リンパ系の働きは睡眠と大いに関係があるようなのです。いったい、どういうことなのでしょうか。

脳内の老廃物を排出するメカニズム

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体内には膨大な数の細胞や組織があり、そこでは日々さまざまなたんぱく質や脂質などが作られ、生体機能を維持しています。その後、不要になったたんぱく質や脂肪、その断片などの老廃物は細胞外に排出されます。老廃物は当初、細胞と細胞の間を満たしている体液(細胞間質液)の中に漂い出ます。細胞間質液はもともと血管からしみ出した血液成分( 血漿

けっしょう

 )なので、次から次へと供給されます。そのため老廃物を含んだ細胞間質液は徐々に押し流され、体中に張り巡らされたリンパ管を通って最終的には血管に戻され、腎臓を経て尿や便の中へと排出されます。

脳内にも神経細胞をはじめとする多数の細胞が存在します。そのため、毎日かなりの量の老廃物が生じます。では、脳の老廃物はどのようにして洗い出されているのでしょうか? 多くの研究者は、脳の中でもリンパ液に乗せて排出しているのだろうと考えてきましたが、長い間、脳内でそれらしきリンパ管は見つかりませんでした。体のリンパ系は300年以上も前の西暦1600年代にはすでに見つかっているのに対して、脳のリンパ系が発見されたのは2010年代に入ってからのことでした。

脳内リンパ系の仕組みを簡単にご説明しましょう。脳には大きく分けて「神経細胞」と「グリア細胞」の2種類の細胞があります。そのうちグリア細胞が脳内の動脈の周囲を包み込み、血管の外側に狭い隙間を作っていたのです。血管の周囲をさらに太い管で取り囲んだイメージです。脳を包む液体(脳脊髄液)がこの隙間を伝って脳の細部に入り込み、神経細胞の周囲にリンパ液としてしみ出して、老廃物を洗い流していたのです。老廃物を含んだリンパ液は、今度はやはりグリア細胞によって静脈の周囲に作られた隙間に沿って脳外へと流れ出るのです。

睡眠中にリンパ液が流れやすくなる

 

発見者の米国ロチェスター大学・メディカル・センターの研究チームは、この脳内リンパ系が主にグリア細胞で形作られているため、「グリンパティック・システム(Glymphatic System)」と命名しました。グリンパティックとは、グリア細胞「Glial cell」とリンパ系「Lymphatic System」を合わせた造語です。

非常に巧妙、精密な実験で発見されたため、他の研究施設でまだ追試(他の研究施設の実験で再確認すること)が行われていませんが、さまざまな傍証から多くの研究者はグリンパティック・システムの存在を信じています。

さて、冒頭で睡眠と脳内リンパ系の働きが密接に関わっていると書きました。実は、脳は神経細胞やグリア細胞、その他の組織などでみっちりと埋め尽くされているため、なかなかリンパ液が流れにくいのですが、驚くべき事に睡眠中に神経細胞間の隙間が大きく拡がり、脳内リンパ液が流れやすくなることが分かったのです。どうやら睡眠中に細胞の体積が縮むかららしいのですが、詳しいメカニズムはまだ分かっていません。

しっかりと睡眠をとることで

その後の研究で、深く眠った時に脳波活動が遅くなることや心拍数が低下することが、脳内リンパ液の流れを活発にすることも分かりました。また、認知症の患者さんを対象にした臨床研究で、脳の老廃物の一つ「アミロイドβ(ベータ)」の濃度が、睡眠時間が長いほど高くなることも分かりました。アミロイドβは、アルツハイマー病の原因物質の一つと考えられています。睡眠時間が長くなることによって脳脊髄液中のアミロイドβ濃度が高くなるということは、それだけ効率よく老廃物を洗い流せていることを意味しています。

かなり以前より、睡眠時間が短いことが認知症の発症リスクと関連することが数多くの疫学研究で明らかにされていましたが、グリンパティック・システムの発見により、そのメカニズムの一端が明らかになりました。脳内のアミロイドβの蓄積は40代前後から始まると言われています。睡眠習慣を正すのであればできるだけ若い頃から始めるに越したことはありません。(三島和夫 精神科医)



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