そこへ上手より、アンドレ登場。
アンドレ「父上、母上、ただ今戻りました。」
王「おお、アンドレ・・・狩りはどうであった?」
アンドレ「はい、思いもよらぬ収穫が・・・」
王「ん?」
アンドレ「(後ろのリーザに。)ほら・・・」
リーザ、王と后の前へ。
后「リーザ!!」
王「リーザ!!おまえは一体今までどこで何をしていたのだ!
?」
后「怪我などないの?」
リーザ「はい、お母様・・・」
王「全くおまえと言う娘は・・・!!」
リーザ「ごめんなさい・・・」
王「つい先日、私はおまえにきつく申し付けた筈だ!!決して
城を黙って抜け出すような、自分勝手な行動をとってはな
らんと!!」
リーザ「・・・はい・・・」
王「おまえが好き気儘に行動するおかげで、何れ程皆が迷惑
をしていると思っているのだ!!」
リーザ「でもお父様!!私・・・」
王「聞く耳はもたないぞ!!いいかリーザ!!そんなに外の
世界に興味があるなら、おまえはこれよりファインヅ寄宿
学校へやることにする!!」
リーザ「え・・・」
后「あなた!!」
アンドレ「父上!!」
リーザ「ファインヅ寄宿学校って・・・」
王「名家の淑女たちが暮らす、全寮制のお嬢様学校だ。そこで
レディたる者どうあるべきか、1から教育を受け直してくるが
よい!!」
后「あなた、そんな!!リーザは生まれてから今日まで、私たち
の側を離れて暮らしたことなど1度もないのですよ・・・それ
をいきなり・・・そんな・・・」
リーザ「お母様・・・」
王「分かったのなら今直ぐ仕度をし、今日中にこの城を出て行く
のだ。いいな・・・」
后「あなた!!そんな無茶ですわ・・・」
王「何が無茶かね?他の娘たちにできて、リーザにできない筈
があるまい。」
后「でもリーザは王家の・・・」
王「教育に家柄など関係はない。」
后「あなた!!アレクたちには勿論、一緒に行ってもらうのです
わね?」
王「駄目だ。学校では身分などないものと思え。そして他の生
徒たちと同じように生活するのだ。そうして普通の娘として
のマナーをその身につけるまで、この城へ戻って来ることは
決して許さん・・・」
王、上手へ去る。
后「あなた・・・!!」
アンドレ「父上!!(王の後を追って、上手へ去る。)」
后「リーザ・・・(泣く。)可哀想な子・・・なんてことなの・・・」
リーザ「お母様・・・泣かないで!!私なら大丈夫だから!!ど
こでだって・・・一人だって!!」
音楽流れる。(后、下がる。)
リーザ、歌う。
(歌いながら、リーザ旅支度に変わり、
背景、城外になる。) ※
(背景だけ、城外に変わっています^^;)
コーラス“飛び立つ時だ
扉が開く”
リーザ“今まで思い憧れてた
自由な世界が直ぐそこに
飛び出すのよ私
小さな羽広げ
やっと叶った思い
だけど願いが叶ったなら
少し不安が顔を出すわ コーラス“気のせい”
自由になる
この時
待ちに待った
夢が叶うの今”
リーザ「今までどんなにこの日を夢見たかしら・・・お兄様のよう
に、自由に外の世界へ飛び出し、新しい友達を作るわ・・・
沢山!!」
リーザ“私 飛ぶわ 広い大空へ
新しい世界
見たことがない
思い描いた場所
誰もが自由に
心のままに
今こそ コーラス“羽広げ”
扉を開ける
私
知らない世界へ コーラス“勇気出し”
踏み出すわ”
紗幕閉まる。
――――― 第 3 場 ――――― B
紗幕前。
音楽流れ、アレク、サンド、ロス上手より
登場。
※2
アレク「聞いたか、今の話し・・・」
サンド「ああ、しかと・・・」
ロス「姫様が寄宿学校へやられるだなどと・・・」
アレク「そんな・・・」
サンド「大変じゃ・・・」
3人、歌う。
“どうすればいいのだろう
大変だ ああ・・・ コーラス“心配”
片時も離れず来た
それなのにまさか・・・”
ロス「大変なことになったぞ・・・」
アレク「今まで我々が大切に守り育ててきた姫様が・・・」
サンド「我々の手の届かない所へ行ってしまわれるなどと・・・」
ロス「そんなことがあってよいのか・・・」
アレク「これは心配で夜も眠れぬわ・・・」
サンド「大変じゃ・・・」
ロス「どうしたことか・・・」
アレク「そうじゃ・・・!我々もこっそりついて行こうじゃあないか
。」
サンド「そうじゃな・・・それがいい!」
ロス「そうと決まれば今直ぐに!!」
アレク「姫様、お待ちを!!」
サンド「我々がいつもお側におりますからな!!」
ロス「ささ・・・参ろうぞ!」
3人、そそくさと上手へ去る。
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕開く。と、ファインヅ寄宿学校。
(音楽、流れる。)
制服姿の生徒たち、歌う。
生徒たち“セントファインヅ寄宿学校
選ばれた者たちだけの”
其々顔を見合わせる。
生徒1「ごきげんよう・・・」
エレン「ごきげんよう、皆さん・・・」
生徒たち“誰もが憧れる学校
選ばれし栄光”
ジニー「今日はいい陽気ですこと・・・」
生徒2「本当・・・」
生徒たち“お嬢様たちの居場所
許された淑女たちだけ”
エレン「さ、あちらへ参りましょう・・・」
生徒1「ええ・・・」
生徒たち“誰もが憧れる学校
選ばれし栄光”
そこへ下手よりシスターマリア、登場。
続いて制服姿に身を包んだリーザ、
幾分頬を紅潮させ登場。 ※3
マリア「(手を叩く。)さぁさぁ、皆さん。」
生徒1「シスター!」
生徒2「シスターマリア!」
生徒たち、スカートの裾を摘み、シスターに
お辞儀をする。
(エレン、ジニー、お互い競うようにシスター
マリアに挨拶に近寄る。)
エレン「おはようございます、シスターマリア!」
ジニー「シスターマリア!おはようございます!」
マリア「おはよう、皆さん・・・(リーザの方を見て。)リーザさん。」
リーザ、シスターの側へ。
マリア「今日から皆さんと一緒にこの学校で生活することになっ
たリーザさんです。皆さん、仲良くして下さいね。」
エレン「はい!」
ジニー「はい!」
リーザ「よろしくお願いします!」
マリア「それではリーザさん、お部屋に荷物が届いてますから、
片付けをしておいて下さいね。」
リーザ「はい!」
マリア「後はお友達に色々と教えてもらって下さい。」
シスターマリア、下手へ去る。
生徒たち、シスターマリアが去るのを
見計らって、リーザの側へ。
生徒1「ねぇ、あなた、どこから来られたの?」
生徒2「お家は何をなさっているの?」
生徒3「なぜこんな時期に転入なさって来たの?」
リーザ「あ・・・私・・・(戸惑ったように。)」
エレン、ジニー、ゆっくりリーザの側へ。
エレン「それよりあなた・・・私と(ジニーを見て。)彼女・・・どちら
のグループに入るおつもり?」
ジニー「ええ、まずはそれを決めて下さらないと・・・ね・・・。」
リーザ「グループ・・・?」
生徒2「そうよ!私たちは皆、エレンかジニー、どちらかのグル
ープに所属しているの。」
生徒1「私はエレン!大手財閥の子女が多いの。」
生徒2「ジニーのグループは元貴族の出の人が主よ。」 ※4
エレン「あなたはどちらかしら・・・?」
ジニー「見たところ・・・髪はボサボサで、なんだか日に焼けた
肌・・・とても元貴族だとは思えないわねぇ・・・」
エレン「あら元貴族だと言ったって、ピンからキリまであるんじゃ
なくて?(笑う。)」
ジニー「失礼ね、あなた!!リーザは山暮らしの成金で、あな
たのグループの人でなくて?」
エレン「なんですって!?」
リーザ「・・・煩いなぁ・・・」
エレン、ジニー「・・・え?(驚いてリーザを見る。)」
エレン「う・・・煩いですって・・・?」
ジニー「今・・・煩いと仰ったの・・・?」
リーザ「ええ!いけないかしら!?」
エレン「まぁっ!」
リーザ「それにさっきから何?そのグループって・・・。何をする
為の集まり?」
エレン「何って・・・あなた・・・お友達が欲しくないの?」
ジニー「そうよ!」
リーザ「友達・・・?」
生徒たち、一斉に頷く。
リーザ「グループに入らないと友達になれない・・・そう言うの?」
エレン「決まってるじゃない!同じグループの人とは何をするの
も一緒!遊ぶのも勉強するのもお食事の時間も!」
リーザ「なぁんだ、つまらない・・・!」
ジニー「つ・・・つまらないですって!?」
エレン「あなた、つまらないってどう言った見解なのかしら!?」
リーザ「私はどちらのグループにも入らなくて結構です。」
ジニー「お友達がいらないと言うの・・・?」
リーザ「グループに入らなくても、友達なら自分で作れるわ!そ
うでしょ?」
エレン「それはどうかしら・・・」
ジニー「そうよ・・・」
エレン「私達は違うグループの人とは普段、喋ったりはしないわ
。」
ジニー「勿論、遊んだりもね。」
エレン「どちらのグループにも入っていないあなたは、誰ともお
友達になれないってこと。」
ジニー「そう!グループに入らない人は、一人ぼっちよ。」
リーザ「それならそれで構わないわ。」
エレン「何ですって・・・!?」
リーザ「そんな面倒な友達関係っておかしいもの。友達は強制
して作るものではない筈よ。(エレンとジニーを見て。)そ
れに、あなたたちを見てると・・・単なるお友達グループ・・・
と言う感じでもないものね・・・。」
ジニー「どう言うことよ・・・それ・・・」
エレン「私たちを見て、何が分かると言うの・・・?」
リーザ「エレンのグループ・・・ジニーのグループ・・・グループと
言うのなら誰々のグループと言う呼び名はおかしいんじゃ
ない?その誰かに忠誠を誓ってグループに入れてもらう
の?(笑う。)そんなのごめんだわ。私は一人で結構です
。」
エレン「ふ・・・ふん!!それならそれでいいわ!」
ジニー「折角、声をかけてあげたのに!」
生徒1「どちらのグループにも入らないなんて・・・」
生徒2「変な人・・・」
エレン「いいことあなたたち!今日は誰も来なかった。」
ジニー「新しい人なんて知らない・・・そう言うことよ!!」
生徒たち口々に「はい・・・」
エレン「皆さん、行きましょう!」
ジニー「私たちはあちらへ参りましょう!」
生徒たち、其々エレン、ジニーについて
上手、下手へ去る。
一人の生徒(ハンナ)、リーザを気に
するように残る。 ※5
リーザ「なんだか寄宿学校・・・って、面倒臭いところね・・・。お父
様が言ってた、私に見て学びなさいと言った良家のお嬢
様って・・・あんな人達のことだったの?なんだかガッカリ
だわ・・・」
ハンナ「あの・・・」
リーザ「(ハンナを認める。)・・・誰?皆、行ってしまったわよ。」
ハンナ「私・・・」
リーザ「何か私に話しでもあるの・・・?」
ハンナ「私はエレンのグループのハンナ・・・」
リーザ「初めまして、ハンナ!私はリーザよ!よろしくね。」
ハンナ「あの、私・・・エレンのグループに入っているけれど、お
金持ちでもなんでもなくて・・・それでもどちらかのグルー
プに入らないと、誰とも仲良くしてもらえないからって・・・
あなたのように一人でいいなんて言い切れるの・・・羨ま
しい・・・」
――――― “自由へ・・・―リーザ旅立ち―”
3へつづく ―――――
※ 実際の舞台では、旅支度に変身させることに無理が
あると判明・・・(^^;普通に歌って次景へと続きます♪
で、その後の出番までにリーザちゃんを寄宿学校の
制服姿に変身させました(^_^;)
※2、このアレクさん達の場面、全編通して紗幕前である
為、一応順番通りに載せているので合っているのです
、見た目だけではどの場面のアレクさん達か、ちょっと
分かり兼ねるのです・・・(^^;
※3、お人形なのに、どうやって“頬を紅潮”させるのか・・・
つい人形劇だと言うことを忘れてしまいました(>_<)
※4、生徒2とリーザちゃんの声・・・どちらも私です^^;
女の子同士の声の使い分けが難しかったです(ーー;)
※5、“ハンナ”ちゃん登場です(^O^)ここで初めて出会
った2人ですが、実は寄宿学校に入る前に意外な接点
があったことは、皆さんご存知の通りであります(^^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
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