りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ゲルダ” ―全8場― 3

2012年09月17日 15時06分53秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 5 場 ――――― 

         舞台、明るくなる。
         上手よりゲルダ、誰かを捜すように登場。

  ゲルダ「ねぇ!!フロル!!トロル!!もう・・・どこに行っちゃ
       ったのかしら・・・。あの2人、先々行くんだもの・・・。それ
       にしても、なんて寒いところなのかしら・・・。(辺りを見回
       す。)カイはもっともっと寒いところに、閉じ込められてる
       のね・・・。急がなきゃ・・・!!」

         その時、下手より一人の老婆、曲がった腰に
         杖を持ち、ゆっくり登場。ゲルダ、老婆を認め
         近寄る。

  ゲルダ「こんにちは、お婆さん!お婆さんはこの先の道から来た
      のかしら?だったら、途中で白と黒の服を着た、2人連れ
      の男の子に出会わなかった?」
  老婆「(ゲルダの言葉は耳に入らないように。)・・・手が、冷たく
     て凍えそうじゃ・・・」
  ゲルダ「(老婆の手を取る。)まぁ・・・本当。(老婆の手を温める
      ように、息をかけたり摩ったりする。)こんなに手が冷たく
      なるまで・・・きっとお婆さん、ずっと長い距離を歩いて来
      たのね。(暫く手を摩る。)・・・どう?少しは温まったかしら
      ・・・。ごめんなさいね・・・私、お婆さんがいくら凍えそうで
      も、何も差し上げるものがないの・・・。私も慌てて、カイの
      後を追うことにしたものだから、服だってこんな薄着で・・・
      。私の目指すところは、もっともっと北の・・・ここよりうんと
      寒いところなのに・・・。でもカイも頑張っているんだから、
      私も頑張らなくちゃいけないのよ。(何か思い出したように
      。)そうだわ!(ポケットから薄い手袋を取り出し、老婆の
      手にはめる。)こんな薄い手袋でも、ないよりましよ!私、
      花弄りが好きで、いつも手袋をポケットに入れていたんだ
      ったわ。少し土がついているけれど、我慢してね。じゃあ、
      私は先を急ぐから・・・。さよなら、お婆さん!」

         ゲルダ、下手方へ行きかける。

  老婆「・・・優しい娘だねぇ・・・」
  ゲルダ「(振り返る。)・・・え・・・?」
  老婆「こんな見ず知らずのわしのようなただの年寄りに、手袋
     までくれるとは・・・。こっちへ来てごらん、ゲルダ・・・」
  ゲルダ「(驚いて。)どうして私のこと・・・」

         ゲルダ、ゆっくりと老婆の側へ。
         老婆、マントの中から毛皮のマフラー
         と、手袋を取り出す。

  老婆「(マフラーと手袋をゲルダの方へ差し出す。)これを、おま
     えにやろう・・・」
  ゲルダ「これは・・・毛皮でできたマフラーと手袋・・・?駄目よ!
      これは貰えないわ!!」
  老婆「おまえさんは、わしにこれをくれたではないか・・・。(手を
     見せる。)わしはこれで十分じゃよ・・・。さぁ、はめてお行き
     ・・・。雪の女王のところは、ここよりもっと寒いんじゃ。そん
     な格好では凍えてしまうよ・・・。」
  ゲルダ「何故、雪の女王のことまで・・・?」
  老婆「(笑って。)わしは、ちょっとばかし魔法が使えるのさ・・・。
     さぁ、若い娘が、遠慮なんかせんでいい・・・。」
  ゲルダ「・・・でも・・・」
  老婆「わしはこの国の人間じゃから、少々のことで凍えたりはせ
     んよ・・・。」
  ゲルダ「(マフラーと手袋を受け取る。)・・・温かい・・・。ありがと
       う、お婆さん・・・。」
  老婆「雪の女王の城は、もう直ぐそこじゃ・・・。後、2マイルも行
     けば、そこから女王の庭が始まる・・・。そこから城までは、
     真っ直ぐ1本道じゃ・・・。しっかりな・・・。(上手方へ行きか
     ける。)」
  ゲルダ「(頷く。)」
  老婆「そうじゃ・・・、おまえさんと一緒にいたフロルとトロルの2
     人も、直ぐそこで(下手方を指す。)おまえさんを捜しておっ
     たぞ・・・。」
  ゲルダ「本当!?」
  老婆「ああ・・・」
  ゲルダ「ありがとう!!(老婆の頬にキスするように。)さよなら
       、お婆さん!!」

         ゲルダ、下手へ走り去る。と、同時に老婆、
         曲がった腰を伸ばし、下手方を見詰める。
         風の音が聞こえ、段々大きく。
         フェード・アウトする。
         (そのまま音は次景へと続く。)

    ――――― 第 6 場 ―――――

         吹雪の音。重なるように静かな歌声が
         聞こえる。

         “城の壁は吹き荒ぶ雪
         窓は身を切るような風
         雪の広間の真ん中に凍った湖
         それが雪の女王の城なのさ・・・”

         薄明るくなる。と、舞台中央、表情のないカイ
         座っている。一時置いて、下手よりフロル、
         トロル登場。続いて周りを見回しながら、ゲルダ
         登場。

  フロル「さぁ、着いたよ・・・」
  ゲルダ「・・・ここが雪の女王のお城・・・?」
  フロル「うん・・・」
  ゲルダ「・・・カイは何処にいるの?」
  フロル「えっと・・・」
  トロル「(顎でカイの方を指して。)ほれ・・・」
  フロル「(カイを認める。)あ・・・!(カイの様子に顔色が変わる
      。)・・・あれは・・・」
  ゲルダ「(トロルが指した方を見、カイを認める。)カイ!!(駆け
      寄る。)カイ!!(カイに触れる。驚いたように手を離す。)
      ・・・冷たい・・・!?そうだわ!!(自分の巻いていた毛皮
      のマフラーを、カイに巻く。)カイ!!返事をして頂戴!!
      私よ!!ゲルダよ!!如何して、何も言わないの!?」
  トロル「・・・心が凍っちまってんだ・・・」
  ゲルダ「ねぇ、フロル!!クラウスとシスターの時みたいに、あ
      なたの力で鏡の破片を取り除くことが出来るんでしょ!?
      お願い!!カイの心を元に戻して!!」
  フロル「・・・それが・・・」
  ゲルダ「(フロルの様子に。)どうしたの・・・?」
  フロル「もうカイは表面だけでなく・・・心の奥深くまで氷ついてし
      まってるんだ・・・」
  ゲルダ「どう言うこと・・・?」
  トロル「手遅れだってことさ!」
  ゲルダ「手遅れ・・・?手遅れって・・・」
  フロル「・・・もう少し早ければ・・・シスターの時のように、僕が手
      を伸ばせば取り出すことが出来たんだ・・・けれどもう、僕
      の手の届くところに、鏡の破片はないようだ・・・」
  ゲルダ「嘘よ・・・何故そんな!!だってあなたも言ったじゃない
       !!鏡の破片さえ取り出せば、カイは元の優しい人に
       戻るって!!」
  フロル「・・・ごめん・・・間に合うと思ったんだ・・・」
  トロル「いい加減なこと言って、そんな安請け合いするからだ。」
  ゲルダ「そんな・・・じゃあ、どうすればカイは元に戻るの!?ど
       うすれば温かな心を取り戻すの!?どうすればいいの
       !?」
  トロル「見てみろ、カイのその生気のない表情を!助けに来る
      のが遅すぎたのさ!諦めろ!諦めろ!」     ※
  ゲルダ「そんなこと・・・嫌よ!!」

         その時、上手より雪の女王、登場。
  
  雪の女王「誰かしら・・・私の城で騒いでいるのは・・・」
  フロル「・・・雪の女王・・・」
  ゲルダ「雪の女王・・・?この人が・・・」

         雪の女王、ゆっくりカイの横に腰を下ろし、
         カイの首に巻いてあったマフラーを取り、放る。
         雪の女王のコートの下からチラッと見えた
         手には、白い手袋がはめられている。
         フロル、目敏くそれに気付き、首を傾げ不審
         そうな面持ちをする。

  ゲルダ「・・・お願い・・・カイに近付かないで・・・!それ以上あな
      たが側にいると、カイは本当に死んじゃうわ・・・!!」
  雪の女王「(微笑んで。)いやよ・・・。私、彼のことが気に入った
        の。」
  ゲルダ「カイはただの人間なのよ!!こんなところで暮らせない
       わ!!」

         音楽流れ、ゲルダ歌う。

         “お願い・・・
         私からカイを奪わないで・・・
         ただ愛しいあなたに会う為
         ここまで来た・・・
         あの優しかったあなたは
         どこへ行ったの・・・
         そんな冷たい目で
         私を見ないで・・・!!”

  ゲルダ「カイを返して!!カイ!!目を覚まして!!ゲルダよ
       !!・・・お願い、カイ!!あなたを愛しているの・・・!!
       」

         カイ、冷ややかな目でゲルダを見詰めるだけで、
         何の反応もしない。
         雪の女王、立ち上がり歌う。

         “もうカイは私のもの・・・
         彼の心臓はあと少しで
         全て氷に包まれるの・・・
         二度とあなたの元へは
         帰らない・・・”

  ゲルダ「お願い・・・(泣く。)カイ・・・思い出して頂戴・・・。二人で
      過ごした優しい日々を・・・!高価なものは何もなくても、
      二人の間には愛があったわ!!とても満ち足りた毎日だ
      った筈よ!!」

         雪の女王歌う。

         “いくら何を聞かせても
         もう彼の心にあなたはいない”

         ゲルダ歌う。

         “そんなことないわ!!
         あなたの言葉なんて信じない!!
         私はカイを取り戻す為
         ここまで来たのよ!!”

  雪の女王「煩く言うのは嫌いよ!あなたもカイのように、氷の中
        に閉じ込めてあげるわ!!(ゲルダの方へ向かって、
        息を吹き掛けるように。)」
  トロル「(思わず。)危ねぇ!!(ゲルダを押し退ける。)」

         雪の女王の吐く息が、トロルにかかる。
         トロル、手鏡を落とし、固まったように
         倒れる。

  フロル「トロル!!(駆け寄る。)」
  ゲルダ「トロル!?」
  フロル「トロル・・・!!」
  雪の女王「まぁ・・・失敗しちゃったじゃない・・・。(笑う。)こんな
        鬼を凍らせちゃって、邪魔になるだけよね・・・。」
  フロル「(雪の女王を見る。)・・・雪の女王・・・・」
  ゲルダ「(フロルに。)トロルはどうなっちゃうの!?」
  フロル「(首を振る。)・・・分からない・・・永遠にこの氷の中に閉
      じ込められたまま・・・死ぬとも・・・生きるとも・・・(涙を堪
      えるように。)」
  ゲルダ「・・・そんな・・・私の為に・・・トロルが・・・」
  雪の女王「分かったでしょう?あなたもこの小鬼みたいに凍ら
        されたくなければ、さっさと家にお帰りなさい!!」

         雪の女王歌う。

         “さぁ
         私はカイは返さない!!”









      ――――― “ゲルダ”4へつづく ―――――







    (どら余談^^;)

    少し、駄作感のある作品なので、手直ししながら書き
   進めている為、中々先に行くことが出来なくて、いつもに
   比べ、更新ペースが遅くなっていますが・・・お許し下さい
   <(_ _)>










 ※  昨日書いた辺りの部分を、少し手直ししてみました^_^;
  この作品、書き写しながら、全般に少し言葉足らずの台本で
  あったな・・・と、気になっていたのです^^;が、前半は、あまり
  手直しすることはなく、書いた当時のまま載せていたのですが、
  ここにきて、ラストの盛り上がりに入る部分が、さすがに言葉
  足らずでは不味いな・・・と思い、書き直してみました(^_^;)
  ラストに向け、これからも一度載せたものを変更することが
  あるかも知れませんが、気になさらないで下さい(^。^)





― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


   (どら余談^^;)

   今日は、午後から学習参観です♪

   毎日教室までの子どもの送り迎えで知っていますが、
   学校と言うところは、無茶苦茶“暑い”・・・(>_<)
   密集した場所にいる子ども達の体温が高いからか、
   道中の日陰なんかはこの時期、少しひんやりした心地いい
   場所に変わりつつあるのに、教室の前に着いた頃には・・・
   “ド~ッ”と流れる汗・・・(^_^;)

   その汗の元となる場所へ行って参ります・・・^_^;








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