「身の丈」経営,「身の程」人生

身の丈,身の程を知って生きる・・・・・

黒柳徹子さん-トットひとり

2015-07-22 00:00:18 | 黒柳徹子

 トットひとり
黒柳徹子:東京都生れ。東京音楽大学声楽科卒。NHK放送劇団に入団,NHK専属のテレビ女優第一号となる。文学座研究所,ニューヨークの演劇学校で学び,テレビ,ラジオ,舞台女優として活躍。
(新潮社 1500円+税)

黒柳徹子さん著の『トットひとり』 。

戦中戦後の少女時代の体験をつづった自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」がベストセラーになってから30余年が過ぎた。今また傘寿にあって,森繁久弥向田邦子沢村貞子渥美清,井上ひさし,つかこうへい,高橋昌也,杉浦直樹山岡久乃,賀原夏子,森光子-.....と,「自分と同じ匂いがする仲間」の生き方と別れ方を鮮やかに綴っている。トットちゃんの記憶から,あの人,この人の楽しくてもの悲しいエピソードが全編にあふれている。

向田邦子さんの20回忌での森繁さんの挨拶がふるっていた。「向田君と私があやしい,などと言う人がよくいまうが,これは誓って言います。私と向田君とは何もありませんでした」

テレビ草創期を共に過ごした森繁久彌さん。森繁さんは,最初に会ったころから,「1回,どう?」が口癖で,それが50年も続いた。そんな森繁さんが88歳の時,「徹子の部屋」の収録中に黒柳は声を張り上げた。「森繁さん,ちゃんとやって頂かないと困るんです。森繁久弥という俳優が,どんなに魅力的で,ステキな方か,という事を知って頂きたいのに(後略)」
すると森繁さんは居住まいを正して,萩原朔太郎の「利根川のほとり」という詩を朗々と,感情を込めて,暗唱し始めた。

きのふまた身を投げんとおもひて
利根川のほとりをさまよひしが・・・・・・・・・

圧巻だった。涙が出た。胸がつまった。

黒柳さんが留学と称して,一年ほど,ニューヨークで休養に行っていた時,森光子さんから届いた手紙。そこには,「お小遣いに困っていませんか。いつでも言ってね」。

夫に先立たれた沢村貞子さんは,87歳で『老いの道ずれ』という著書を出版した直後,「徹子の部屋」でこう語った。「人間て,一生懸命やると後悔しないものよ。だって,出来るだけの事,やったもの。(中略)これで,さらりと,おしまい!」

兄ちゃんと慕う渥美清さんは,いつも「お嬢さん」と呼んでいる妹分をよくからかった。その兄ちゃんの最後となった留守番電話のメッセージは,「お嬢さん,お元気のようですね。私は,もうダメです。お嬢さんは元気でいて下さい」。

2011年の秋の初めに,杉浦直樹さんが死んだ。これで,私の芸能界における<家族>は本当に,みんな,いなくなってしまった。母さんとよんでいた沢村貞子さん,お兄ちゃんの渥美清さん,お姉さんの山岡久乃さん,そして,セイ兄ちゃんと呼んでいた杉浦さん,これで全部。

家族とも思っていた大事な人,大好きな人,自分と同じにおいのする人たちが,一人また一人と亡くなった。そんな人たちの思い出とともに,自身の結婚未遂事件や,現在の心境までを熱く率直に綴ったエッセー集である。

 

向田邦子さん曰く = 森繁久彌さんの魅力は 「胡散臭いところ」

 
森繁久彌大全集
「銀座の雀」「船頭小唄」「月の沙漠」「しれとこ旅情」「戦友」他、代表的歌唱40曲を収録。

昭和20年代から40年代の森繁ファン垂涎の音源を厳選。解説書もすばらしいです!
コロムビアミュージックエンタテインメント

 

  映画や舞台、テレビドラマなどで幅広く活躍した俳優の森繁久彌さん。

 

  『 人生の終いじたく [ 中村メイコ著 ] 』  青春出版社刊より・・・・

私の尊敬する向田邦子さんは、森繁久彌のいちばんの魅力は何をやっても胡散臭(うさんくさい)いところだ、と評していらっしゃいます。 胡散臭さという のは、男の持つもっとも顕著な属性でもあり、男がもっとも隠したいところでもあり、そして、女に男であることをもっとも感じさせるところでもあります。こ の3つをすべて表現できるからこそ、森繁さんの演じたさまざまな男たちは、演技を超えて本物らしく見えたのでしょう。

向田さんは、森繁久彌から胡散臭さがなくなったら、彼の台本を書きたいとは思わないだろう、とまで書いていらっしゃいます。
20年ほど前はまだまだお元気でしたが、その頃からおじいさんぶって、足を引きずって歩くようになられました。そして、めざとく女の人 (たいていは女優です)を見つけては、「どうも杖がないと歩けなくなってねえ」。そういわれれば、たいていの女性は「先生、よろしかったら、私の腕をお貸ししますよ」。 で、しっかりと女性の腕にすがって歩くというのが、あの頃の森繁さんのパターンでした。
                                                 『 人生の終いじたく [ 中村メイコ著 ] 』  青春出版社刊

 

森繁の重役読本 〈新装版〉 (文春文庫)
向田邦子著
文藝春秋

 

 

>>>女優 森光子さん

 本名:村上 美津(むらかみ みつ)、1920年5月9日生まれ )は,京都府京都市出身。
京都府立第一高等女学校(現京都府立鴨沂高等学校)中退。日本俳優連合名誉副会長、フジテレビジョン番組審議委員。国民栄誉賞受賞。
栄典は三等・瑞宝章・紫綬褒章・文化勲章。文化功労者・東京都名誉都民。

俳優の嵐寛寿郎の従妹である。芸名は寛寿郎の母(伯母)から、女優の森静子と伯母の旧姓・森端にちなんで「森」、本名の美津より「光子」となった。

 「放浪記」は,作家 林芙美子の波乱に満ちた半生を描いた菊田一夫作の舞台。森さんは昭和36年の初演以来,ヒロイン・林芙美子を演じ続けてきた。

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