rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

日本の北端へGO その3 レブンアツモリソウ

2024-06-25 15:50:31 | 旅先から
レブンアツモリソウ



レブンアツモリソウは、この島の固有植物。
一ヶ月にも満たない開花時期の終盤に間に合い、この花を見ることができた。
寒冷地を好むラン科の植物で、このレブンアツモリソウは、特定の虫でしか受粉ができないことと、その発芽から生育も時間がかなるなど幾多の条件をクリアしなければならないとかで、絶滅危惧種となっているようだ。
保護育成活動がなされているのはもちろんのこと、花を観察する時に花を揺らしたりしないなど、注意を払う必要がある。
レブンアツモリソウ群生地を後にして向かったのは、島の西北端にあるスコトン岬。
やはり霧雨と強い風が吹きつけてくる、厳しい自然環境があった。
それしか、体感できない状況だった。
また来た道を南下して、島の南の西側にある、桃のような形状の桃岩と猫の後姿のような猫岩が見える桃台猫台へと移動したが、移動した先もやはり霧雨と強い風が居座っていた。
もちろん、桃岩と猫岩を拝めることはできず、そこに咲いていた花を写真に収め、旅の記憶とする。
島を南北と移動していると、島の特徴に気がつく。
バスガイドの方の説明にもあったのだが、南半分には、ハイマツやトドマツなどの樹木が生えていても、北半分は木のないいわゆる「礼文島」の観光写真にあるようななだらかな丘陵地が続く景色になる。
明治ごろの幾度かの大火で北側の木々が消失し、川を境に南側への延焼は止まったとのこと。
その後、植林をして復活を目指すものの、北の厳しい環境では、人の努力は実を結ばなかったようだ。
「花の島 礼文島」と言われていても、そこに咲く花の植生は高山植物であり、本州などにおいて2500m付近の森林限界と同じような条件となると、植林という行為が困難を極めるということがわかる。
私が憧れた景色の背景にこのような経緯があったことを知って、今ある自然を失ってからでは元に戻すのが、どれほど困難を極めるか、元には戻らないかを考えさせられた。
たしかに、場所は遠く離れるけれども、かつてのギリシャは豊かな森が国土を覆っていたそうだが、文明の発達と共に木々は伐採され生活燃料に使われたり、土木工事に使用されたりと、ただ切り倒されていた。
彼らには、伐採と植林が対を成す考えはなかったのだろう。
そして、今のギリシャの景色が出来上がった。
話を元に戻そう。
観光バスでの周遊を終えて、宿泊するホテルは、北の久種湖(くしゅこ)にほど近く、スコトン岬と金田ノ岬にはさまれた入り江に面していた。
ホテルから歩いて浜辺に行き、貝拾いをして童心に返る。
ホテルのルームキーについていた貝殻には、綺麗な穴が開けられていて、実は人工的に開けたものではなく、この浜辺で取れる貝だけにある特徴なのだと教えてもらったのだ。
その実態は、ちょっとグロく、エゾタマキガイにツメタガイが吸い付くことによって開いた穴なのだそうだ。
うむむ、でもなんとなく可愛いからよしとして、気に入った貝を拾い集めた。
観光ポイントを巡るのも楽しいが、貝殻集めや石探しなどのシンプルで没入感のある行為は、人の記憶の原初的なところに刻み込まれるのではないだろうか。


スコトン岬


チシマフウロ


レブンシオガマ


センダイハギ


穴あき貝


ゴロタ浜



さて次回は、アカシア花盛りの北海道で締めくくろうか。

日本の北端へGO その2 礼文島澄海岬

2024-06-23 15:32:51 | 旅先から

稚内から礼文島へ向かうフェリーより、利尻島の利尻富士を臨む


幸運に開けた青空

雨雲が覆う稚内から、朝一のフェリーで礼文島に向かう。
稚内のノシャップ岬を遥か後方にするころ、フェリーの上空には青空が広がってきた。
天気予報では曇り時々雨だったから、この束の間の青空は、北端に向かう旅行者へのちょっとした贈り物のように思われた。
そうこうするうちに、前方左手に島影が水平線上に現れた。
利尻富士を頂く利尻島だ。
30年以上前に、行ったことのある島だ。
山の右側に、白い筋があることから、残雪の可能性がある。
ここにあげた写真の前のもののほうが、山頂までよく見えて、白い筋もくっきりしていたが、全体のバランスがいいものを選んだので山頂に雲がかかり始めたものとなっている。
海上の風は強く、しかも冷たい。
時々船内へ戻って体を温めてから甲板へ出るの繰り返しをしていると、進むにつれて空に雲がかかり、利尻島は灰色の世界の奥に隠れてしまった。
もちろん、礼文島は、すぐ近くになるまで待たなければその姿を見ることができないほど、霧がかかっていた。
フェリーが接岸し上陸すると、観光バスへと乗り込んで、礼文島周遊をする。
礼文島は、南北に細長い島で、その東海岸沿いに道路が走る。
いくつかの名所、見内神社(みないじんじゃ)、日食観測記念モニュメントなどを車内より確認して、西側にある澄海岬へ移動する。
その途中、日食記念モニュメントを過ぎたあたりから一区間だけ、すっきりと晴れているところがあった。
礼文岳(490m)に西よりの湿った空気が阻まれて、そこだけ晴れているのだろう。
その影響が及ばないところへ進むと、また霧雨の降る世界へと戻っていった。
澄海岬には、強く湿った風が吹きつける過酷な中でも咲く、エゾカンゾウ(ニッコウキスゲ)、ミヤマオダマキ、チシマフウロ、オオハナウドなど、健気で可憐な花たちが居た。
晴れて視界が開けていたら・・・と思いつつ、まだ雨が酷くないだけでも幸運なのだと言い聞かせては、一期一会の面持ちで、この景色と空気を自分に刻み込もうとしていた。


澄海岬(すかいみさき)にて


澄海岬に咲く花々




澄海岬の入り江





この続きは、礼文島固有種のレブンアツモリソウと、穴あき貝などを織り交ぜておくりたいと思う。


日本の北端へGO その1

2024-06-17 15:58:17 | 旅先から




6月8日から13日にかけて、北海道へ行っていた。
そのうち4日間、北端の稚内と礼文島へ足を延ばす。
あいにくと、曇って肌寒い天気だったが、それもまたよし。
稚内へ行く途中の名寄に泊まった。
北海道は、温泉がとにかく多い。
ここ名寄も優しい泉質の温泉で、ホテルでは日帰り温泉も行なっており、近隣の人々が利用しているのが伺えた。
さて、「名寄」とはどこかで馴染んだ地名と思っていると、観光案内の小冊子を見て気がついた。
天文台があるのだ。
先月は、太陽フレアの影響で、低緯度オーロラが世界各地で目撃されていた。
そのなかで、名寄天文台「きたすばる」がSNSで発信する情報を見ているということから、初耳ではなかった。
行った日は生憎と月曜日で、概観を拝むだけではあったが、よりリアルさを増してこれからの情報を受け取れそうだ。

そして、古生物の化石が取れるという中川町を通って、サロベツ原野に向かった。
より寒さと霧雨が増してきて、ある意味湿原の雰囲気が強められている。
湿原の植物が咲くには少し早くっても、エゾカンゾウ(ニッコウキスゲ)、アヤメ、ワタスゲなどがポツポツ咲いていた。
風が強く、すぐにも雨が本降りになりそうな中、それでも人はやってくる。
花の時期は目まぐるしく変わるから、天気を待っているだけでは逃してしまうのだろう。

次は礼文島篇へ。






やっぱ温泉でしょ!全部お湯で流したい~?

2024-02-05 17:39:47 | 旅先から
酷い疲れ、絶望とも表せるほどのものを癒せるのは、やっぱ温泉でしょ!
いやいや、数ヶ月前に新潟で温泉浸かったはずなんだけど、数年ぶりに那須へ行って温泉を愉しんだのさ。
外は風が強く吹いて、体が瞬時にカチコチに凍る気分の日、熱すぎないお湯でじっくり解凍すると、心の中まで温かさが伝わって、少しだけ生きているのも悪くないと思えちゃったりするんだよね。
まあ、動物だからね、安全安心な環境で、温かくしていられて美味しい食べ物があれば、結構そのときは幸せを感じられるんだ。
束の間でもそう思えれば、明日に繋げられるはず。
温泉まで行けなくてもさ、全人類温かいお湯にゆったり浸かれることができれば、もうちょっと世界はよくなるんじゃないかと思ったわけさ。
愚痴になるけれど、マジでホント世界も日本も身近な人間が集まるところに、いいところを見つけにくくなっているよ。
「究極の善」などというものは存在しがたい、究極とは善と悪の区別がないと思えるので、そこそこ善でも悪でもあるくらいの緩やかさの中で、どこかに富や権力が集中して暴走しない程度にならんものかな。
できるだけ多くの人が、生まれてきてよかったと思える世界。
多種多様な要素で構成されている地球の素晴らしさをありがたく受け止め、他の生き物とも謙虚に共存しようという意識を根付かせたいよな~。
壮大なことを願う前に、まずはみんなが温かいお風呂に入れることを願い、おススメするよ。

新潟の旅

2023-11-13 22:07:58 | 旅先から


日本海へ沈む夕日にぎりぎり間に合った。
この日の天気は晴れて暖かく、海は凪いでいた。
冬へ切り替わる直前の恵まれた2日間、新潟への旅。
寺泊に宿泊して海の幸を堪能し、翌朝には日本海を眺めながらの露天風呂と、なんとも豪勢な過ごし方。



2日目は、寺泊のお魚市場でお土産の海産物を買ってから、観光しながら帰路に着く。
燕市に向かったところにある弥彦神社のロープウェイに乗ろうとしたけれど、ちょうど菊祭りが催されているとかで、酷い渋滞に音を上げて引き返た。
そこで、道の駅国上のすぐ近くにある酒吞童子神社の五重塔が気になり立ち寄った。
この神社の上の小高い山にはハイキングコースがあるようで、熊除けの鈴をつけたハイカーが登山道を降りてくるのを見た。
山歩きには絶好の日だから、昨今熊出没の危惧はあっても、装備を整えて歩きたくなるのはとてもよくわかる。
どんなに注意を払っても免れない事態に遭遇しないよう、ハイカーの安全を願わずにはいられない。



そして、南魚沼では、八海山の近くにある「魚沼の里」という地域の特産物を提供する複合施設に立ち寄り、焼き立てパンとコーヒーで軽い昼食をとった。
そこにセルフで飲めるおしゃれなウォーターサーバーの水は、ものすごくまろやかでやさしく美味しい水だった。
確かめたわけではないけれど、八海山系の水脈から取った水で、美味しい水だからこそお米も美味しくなるのではないかと思いを巡らし楽しめた。



この中央にある山が、八海山だ。
ここにもロープウェイがあるのだけれど、時間的に厳しく行くことがかなわなかった。
けれども、この写真を撮ったところにあるトミオカホワイト美術館での静かで安らかなひと時は、この山の恩恵もあるのではないかと思えた。
では、この美術館のお話は、また後ほどということで。