学生街でもあるその街は、生活に便利な商店が立ち並ぶ。
リヤカー部隊も有名だ。昔から、漁師や商人は守り神や招き猫代わりに猫を大事にしたというが、
この街にも大事にされている猫達がいる。
兄弟猫の『ちび太』と『ミロ』だ。
『ちび太』は白の入ったキジトラ、『ミロ』はシャムの血が混じっているのか目が青い。
薬局と居酒屋の間に餌場を作って貰い、好きな時に来てご飯を食べては、遊びに行く。
リヤカー部隊の店長さんの計らいで、野菜箱に座布団を敷いたベッドまで持っている。
飼い主に飽きられたそこら辺の飼い猫より、遥かに幸せそうだ。
薬局のお姉さん、パチンコ屋のバイト君、リヤカー部隊のおばちゃん達に見守られ、
元気に街をパトロールしている「商店街の顔役」といったところだろう。
久しぶりに買い物に来た時、『ミロ』と再会した。
子猫の時にすれ違っただけなので私が近付くと逃げるが、
自転車に乗ってやって来たおばちゃんの足元を離れようとしない。
この辺では有名な猫おばさんの様だ。
自宅には三匹の猫が居て、時々自転車に猫を乗せて商店街へとやって来るらしい。
「良い引き取り手がいたら良いんやけど…、でも責任持って飼ってくれる人じゃないとね。」
そもそも、野良猫……差し上げたいんだか、差し上げたくないんだか、親心は複雑である。
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