『小鉄』が消えた。
師走に入り、急に寒くなったので、ねぐらから出て来るのがしんどいのかと思っていたら、
おばあちゃんも会っていないと言う。
優しい奴なので、寒くなったし迷惑を掛けまいと姿を消したのか、
可愛い雌猫を見付けて旅に出たのかもしれない。
出会った時から既に成猫、拾われる可能性は少ないが
不思議と愛嬌のある猫なので家猫に転身したのかもしれない。
川沿いで犬の散歩をする人達も皆、心配してくれていた。
一週間と一日目、夜遅くなった帰り道、納骨堂の裏で『小鉄』の名を呼んだ。
何の返事も無い。諦めて歩き出す。公園に差し掛かると後ろで声がした。
「ニャ~~ッニャ~~ッ!」
振り向くと暗がりの中、丸い背中が必死で私に向かって駆けて来る。
『小鉄』だ。
久し振りの再会に嬉しくて、膝に乗せてもみくちゃに撫でていると
『小鉄』の心配をしてくれていた犬の散歩のおじさんが通りかかり、
「やっと戻って来たね、小鉄がここに居らなみんな心配するやろ~」と、
『小鉄』の頭をぽんぽんと優しく撫でてくれた。
おじさんは私の名前も知らない。縁もゆかりも無い。
でも、犬の名前は『ムック』…これが普通で、これが日常。
私が知らない人達迄、何故か『小鉄』の名前は知っている。
ここ(川沿い)の噂は、インターネットよりもきっと、早い。
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そして小鉄ちゃんは 人と人を繋げてくれていますね。
ニュースを見る度 いやな世の中になったものだと思うけど
まだまだ捨てたものでもないのかな。
でも、ちゃんと周りを見渡せば小さな幸せもある。
あるいは、気付かない事も幸せかもしれない。
日常の中に確かにあるんですよね。
でもこんな小さな幸せ(温もり)がニュースになる世の中が来ることを祈りつつ。。。