ヒロヒコの "My Treasure Box"

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最近読んだミステリ関係を紹介(2014年8月その1)

2014年08月29日 | ミステリー小説
 「完全版密室ミステリの迷宮」監修・有栖川有栖(2014年5月洋泉社)
 古今東西の「密室」ものミステリを紹介している。古くはポーの「モルグ街の殺人」、横溝正史「本陣殺人事件」から近作まで幅広い。こんな密室あんな密室と図解入りを折り込みながら紹介しているが、そのトリックまでは触れられていない。当たり前の話だが、それが「あずましくない」(北海道の方言で「満足しない」意味)。すると興味を引く作品を読みたくなる。そういう仕組みのガイドブックである。
それにしても、まだまだ知らない密室ものの名作がこれほどあることを改めて知った。未読のものは片っ端から読んでみたい、そんな気持ちにさせられた。

 その中で最初に読みたいと思った作品は幡 大介「猫間地獄のわらべ歌」(2012年7月講談社文庫)である。早速古本で手に入れた。これは江戸時代の話で、ある閉ざされた蔵で自死を遂げた侍がいるが、自死ということを知られないようにあえてそれが他殺であることを証明する、つまり密室破りを考えなければならないという状況から始まる物語。他に首無し殺人、わらべ歌殺人、アリバイ崩しなどの事件も発生し、そのトリックは如何に、という展開である。ミステリとしては登場人物自らが述べているように伏線がない、つまり読者はいっさい手がかりを与えられない状況なので、単純にストーリーを追いかける読み方になるだろう。しかし、それなのに「読者への挑戦」が挿入されているし、また、最後の最後に「へぇー」と唸ってしまう予想外の展開もあった。さらに、江戸時代の語り口も意外と面白く、ギャグもあり、総じてリラックスして楽しめた作品であった。「時代物」も結構面白いのかもしれないと思った次第である。


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