海底下深部の話が出ていました。
かって聞いたことがある中に、我々の科学は、地上はるか上空―宇宙まで かなりの部分まで解明
されていて、月や惑星などの観測も進んでいるのに、地下部分に至っては、皆目わかっていない・・
そんな話を覚えていましたので、先の会報 新年号に出ていた「海底下深部」の話(平朝彦氏、
海洋研究開発機構理事長)は、大変興味を持って読みました。
しかし、話の内容は、その範囲が広く難しいので、ネット調べと並行しながら理解に努めたのですが、
ストンとくるどころか、海底下深部を知るために、マントル(地殻と核の間にある岩石の層、
地下10km)や、それに乗っかるようにして移動するプレート(岩盤)など、そもそもの地球誕生の
歴史みたいな方向にどんどん進んで、止まらなくなりました。
そういうことで、深海に入る前に、地球史について、これまた興味がある話ばかりですが、
とてつもなく大きな(古代の)話ですので、ガバッと端しょって見て行きたいと思います。
プレートテクトニクス(plate tectonics)は、プレート理論とも言われて、1960年代後半以降に
発展した学説で、地球の表面が、何枚かの固いプレート(厚さ100kmの岩盤)で構成されており、
このプレートが、海溝に沈み込みながら、対流するマントルに乗って移動しているとする理論の事
なんだそうです。 地球上には、南北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどの大陸がありますが、
これらの大陸は、この理論によって、2~3億年前に存在していた超大陸が、分裂・移動して現在のような
形になったと説明されています。アフリカと南アメリカの海岸線はほぼ一致していますね。地質、
古生物などからこれが証明されているのです。
10億年くらい前から、大陸は分裂したリ、集まったりを繰り返していましたが、2~3億年前に存在していたパンゲア超大陸が南北に分裂を始めて、北はローラシア大陸、南はゴンドワナ大陸となり、両大陸は、更に分裂して現在のような形になったのです。
パンゲア超大陸(ウイキペディアより) 地質時代区分(ウイキペディアより)
この頃から1億5000年前頃はジュラ紀と呼ばれ恐竜や鳥類がいたそうです。あの映画“ジュラシック
パーク”を思い出します。 地球上の大陸も何億年のオーダーで考えれば、変化しているとなれば、
現在の地球の姿もはるか未来には、また違った世界となっているのでしょう。地球史のうち、
5億4200万年前の「カンブリア紀」以降のいわゆる「顕生代」について、当ブログの2012.2.24記事
“絶滅種”をご参照ください。
戦後になって、大西洋の真ん中に中央海嶺(海底山脈)を発見し、新しい海洋底が形成され、それが
少しずつ左右両側に拡大しているという。アメリカの深海掘削船の調査で、中央海嶺から遠ざかるにつれ、
海洋底の年代は古くなることが確認され、海洋底拡大が証明されています。
また、日本列島はというと、5000~3000万年前頃、ユーラシアプレートの東端および北アメリカ
プレートの2つの大陸プレートの下に太平洋プレートとフィリピン海プレートの2つの海洋プレートが
沈み込む運動によって、その原型が形成され、2000~500万年前あたりに日本海が形成されて、
ユーラシア大陸から切り離された弧状列島になったと考えられているのだそうです。(日本神話では、
イザナギ、イザナミノミコトによって、先ず淡路島が作られたとなっています。)
したがって現在も、北米プレートとユーラシアプレートは押し合って、その下にフィリピン海プレートが
沈み込み、さらに太平洋プレートが北米とフィリピン海の下に沈み込んでいるというのです。
つまり、太平洋プレートは、3つのプレートの下に沈み込んでいる異常なプレート構造を成していて、
その境界上に日本列島があるのだそうで、この海洋プレートの沈み込みが原因で、世界有数の火山地帯と
なっているのです。 会報では、「東京はこれら4つのプレートが相互作用する、地球上で最も活動的な
場所で、直下型大地震のリスクが世界有数に高い場所に3000万人もの人が住んでいる。」と怖いことを
言っています。
地球深部探査船「ちきゅう」(57,000t)が、就航して昨年が丁度10周年に当たりますが、
他の科学掘削船と違って、世界初の「ライザー掘削」方式という、ライザーパイプ(太いパイプ)の中に
ドリルパイプ(細いパイプ)を入れ、二つの間に泥水を循環させることで堀くずを全部船上に上げるため、
海底下 7kmまで掘削が可能な優れものだそうです。
地球深部探査船「ちきゅう」
(JAMSTEC HPより)
で、この「ちきゅう」の活動目的は4つあり、①巨大地震の震源域を直接観測することを第一目的と
しています。プレート境界面を直接調査することによって地震発生のメカニズムを解明し、地震予測に
つなげる。 ②マントルの試料採取で、マントルの組成や物性を調べること。しかし、まだ掘削技術が
マントルまで達していないので、今後の課題とされています。 ③地下生物圏の探査。これにより、
地球生命の誕生と進化のなぞを解明に役立てる。 ④地球環境の変動調査。過去の地球の姿を調査する
ことによって、未来の地球の姿を予測する。 とされています。
東日本大震災(2011.3.11)の震源域で、太平洋プレートと北米プレートの境界断層帯の部分が移動した
ことを、プレートの摩擦熱の余熱を測定することで立証されたのでした。 史上初めて巨大地震が
発生した震源域の断層を掘削し、7km海底のさらにその下820mのプレート境界断層の異常な
温度上昇(0.2℃:摩擦熱=余熱)が観測され、“北海道~東北地方を載せた北米プレートが、太平洋
プレートの粘土層の上を滑った。”時の余熱であることが判明し、これが、大地震と大津波の原因である
ことが立証されたとありました。
また、地下生命圏の探索についても目覚ましい成果を上げているとあります。海底には多くの微生物が
いるようで、海底400m位までは、1cm²あたり10万を超える微生物がいるそうですが、さらに深海に
なると、数はぐっと減って、海底下2.5kmともなれば極端に減少して生命圏の限界と推定されています。
これらの調査を通して、青森県八戸沖の海底下1.5kmあたりは、2000万年前には湿原と森林だったことが
分かったそうです。
これらの微生物は、海底下でも有機物を分解し、メタン(天然ガス)を生成して、それが海底付近まで
上がってくると、メタンハイドレートとなり、日本近海に多く分布していることが分かっています。
科学掘削船「ちきゅう」は、メタンハイドレート事業にも協力しているという。 既に渥美半島沖の
海底からメタンハイドレートをくみ上げて、メタンを産出する試験に世界で初めて成功したという。
地球の内部を深く調査することは、地球がどのようにできたか、そして将来的にどのようになるのか
などの解明に役立つだけでなく、直接的には、大規模地震の原因の解明およびその予知などの切実な
目的を達成する重要な役割を担っていますが、併せて地球資源の探査にも大きな期待がもたれている
ことが分かりました。
遥か遠い昔、137億年前に宇宙が出来て、それから90億年ほど経った、46億年前に地球が出来た。
マントルの移動や火山爆発などにより大陸の分散・集合が繰り返されて、6億年前にはゴンドワナ超大陸が
出来、2億5000年前にはパンゲア超大陸となり、その5000年後にはこれが分裂を始めて、現在の地球上の
大陸の形が出来たという。
生物も、当初はバクテリアのような物から、光合成の生物が出現し それから30億年もすぎて、
クラゲやコケ類が出現し、5億4200万年前のカンブリア紀を迎え、生物の多様化が一気に進み、
植物の上陸が始まり、脊椎動物の出現から、哺乳類の出現、6500万年前には霊長類が出現し、
それがヒト科とオランウータン科に分欺するのが1500年前。ヒマラヤ山脈は、4500万年前にできた
のだそうです。
どれも気の遠くなるような話ばかりですが、よくもまぁ、これらのことが分かったものだと思います。
しかし、世の中には、まだまだ未知のことがいっぱいあるってことも分かりました。
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