私がこの名前を知ったのは、もう10年近く前になりますが、夏の暑い日にランチ
の会で、練馬区にある牧野記念庭園を訪れた時でした。植物学者牧野富太郎博士
が生前住み慣れた住居跡を練馬区が整備して一般公開されている庭園です。しかし、
ここでも実物を見たことはなかったのです。
牧野博士は高知県の生まれですが、拙ブログ「牧野富太郎」(2022.1.24)から、
『やがて東京帝国大学の植物学教室に教授を尋ね研究に没頭し、天性の描画力にも
恵まれた方で、25歳で同教室の学者らと共同で『植物学雑誌』を創刊します。同
雑誌は、現在も権威ある植物学誌となっているそうです。
また、『日本植物志図篇』(植物図鑑)を自費刊行に向けて絵は自筆で仕上げる
など注力し、さらには植物の新種を発見し、命名するなど着実に実績を積み、水草
の一種である「ムジナモ」を日本で新発見し、正式な学術論文で世界に発表した
ことで、世界的に名を知られるようになるのです。 この時、彼は28歳で、結婚
して大学の近くに居を構えるのです。』 とある、「ムジナモ」なんですね。
ムジナモ
(AQUALASSICより)
一昨日(1/3)の読売新聞地域版の『動物日記』に「ムジナモ」が取り上げられ
ていました。 さいたま水族館の岡田明香氏の記事で、『秋までふさふさ冬に変身』
とサブタイトルが付けられた、楽しい内容でした。
ムジナモは、モウセンゴケ科ムジナモ属に属す独自の進化を遂げた一族一種の
水草とあります。食中植物なんですね。 で、これが、春から秋にかけては、ムジナ
の尻尾に似た緑色したふさふさの形であるのが、冬に大変身して、黒っぽい小さな
種のような形になるのです。
ネットで調べてみました。以下は、ウイキペディアから要点を抜粋しました。
浮遊性の水草で、根は発根時に幼根があるだけで通常はないそうです。 葉が
ハエトリグサと同じく二枚貝のような捕虫器官になっていて、ミジンコなどの動物
プランクトンを捕食するとあります。
葉柄の長さは5mmから8mmで、その先に付く捕虫葉は5mm程度。捕虫葉の内側には
ハエトリグサと同じく感覚毛が生えているのですが、数は約40本と多く、1回の刺激
で葉が閉じてしまいます。閉じる速さも50分の1秒とハエトリグサより遙かに速い
そうです。葉を閉じると狭窄運動を行い、消化酵素を出して、養分を吸収するのです。
冬期は先端に冬芽(殖芽)を作って、水底に沈んで越冬します。花を咲かせる
ことは希で「幻の花」といわれていますが、開花は昼の1時間から2時間ほどで、
白もしくは緑白色の小さな花が1つ咲くそうです。
幻の花
(朝日新聞デジタルより)
牧野博士がこれを発見したとき、その姿がタヌキの尻尾のようなので「タヌキモ」
と命名したかったが、既にタヌキモという植物があったため、タヌキの別名である
ムジナから「ムジナモ」と名付けられたそうです。英名は Waterwheel plant
と、水車の名が与えられています。
このムジナモは、17世紀にはヨーロッパの各地やアフリカ各地にも生息していた
そうですが、洪水で流されたり、ザリガニなどに食されたりして、現在はほとんど
見られないそうです。日本でも、1890年に牧野博士により江戸川近くで発見され、
その後近畿地方などで見られたそうですが、現在は殆ど生息していないとあり、
新聞記事で紹介されていた「さいたま水族館」(埼玉県羽生市)で、実際にムジ
ナモを見ることが出来るそうです。埼玉県のレッドデータブックでは野生絶滅に
分類されています。
絶滅危惧ⅠA類(CR)(環境省レッドスト)
(ウイキペディアより)
(埼玉県レッドデータブックではEWに指定されています。)
【咲くやこの花館】貴重なムジナモの開花とオタマジャクシを捕食する衝撃映像!牧野富太郎博士のスケッチも紹介【城山豊】
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